我々は、Cr原子1個を含むCdTe自己形成ドット(SAD)を対象に、ドット中の単一Crスピンの様々な特性を詳細に調べ、量子情報処理への応用、とりわけ格子歪によるCrスピンの変調の実現を目指して研究を行っている。本研究では、Crを含まないCdTe SADにおいて表面弾性波(SAW)を発生させる試料構造を作製し、ドットの励起子発光スペクトルがSAW発生に伴う格子歪により変調されることを検証した。またCrがこれまでとは異なる荷電状態の1価のイオン(Cr+)にあるドットからの発光を観測し、その振舞いをダイナミクスも含めて詳細に調べ、Cr+状態のスピンは20μsという長い緩和時間を有することを見出した。
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