研究課題/領域番号 |
20K21117
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉川 洋史 大阪大学, 工学研究科, 教授 (50551173)
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研究分担者 |
川村 隆三 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (50534591)
杉山 輝樹 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 客員教授 (80397687)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | レーザートラッピング / レーザー操作 / 細胞骨格 / タンパク質 / 光熱作用 / 微小管 / チューブリン / 自己組織化 |
研究実績の概要 |
本年度は、前年度までに見出したレーザーによる細胞骨格形成現象について、そのメカニズムに関する研究を実施した。そのために特に、集光レーザービームに基づく熱および電場の影響について調べた。まず熱作用の検証については、従来の水溶媒に加えて、重水を使用する実験系を立ち上げた。重水は、レーザー波長(1064 nm)における吸収係数が水より大幅に小さいため、レーザーによって発生する熱が細胞骨格形成に与える影響を調べることができる。本研究では、水と重水の混合比を変えながら細胞骨格形成現象を系統的に調べた。その結果、重水の比率が大きくなるほど、形成する細胞骨格のサイズが小さくなり、形成に要する時間も長くなることがわかった。また電場作用については、レーザーの偏光(例:直線偏光、円偏光)が細胞骨格形成現象に与える影響について検証した。その結果、細胞骨格形成が偏光方向に依存するという興味深い結果を見出した。以上の結果は、レーザーによる細胞骨格形成現象が、熱および電場の両方の作用により生じていることを示唆している。以上の成果は、コロイドおよび界面化学討論会やCSJ化学フェスタなどで学会発表した。また他にもレーザーを照射する界面状態が細胞骨格形成に与える影響についても検証し、興味深い知見を得ている。また細胞骨格形成に関する研究と並行して、本研究の基盤技術であるレーザー操作法の高度化に関する研究も実施し、学会などで成果を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では主に、(1)レーザーによる3次元細胞骨格構造の作製と機構解明、(2)細胞骨格の構造と集団運動性との相関解明の2項目を実施する予定である。2年目の段階で(1)についてはほぼ達成した。また(2)についても達成の目途がついており、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、これまでの知見を活用し、レーザーを用いて様々な細胞骨格構造の形成に挑む予定である。さらに形成した細胞骨格構造の応用など多様な展開目指す予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、本研究遂行に必要な物品を購入したが、想定より安価で購入することができた。 これによって生じた未使用額は、次年度のレーザーを用いた様々な細胞骨格構造の形成に関する研究計画において、網羅的な実験・解析が必要になることが予測されるため、そのための物品費に充当する予定である。
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