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2020 年度 実施状況報告書

ナノ界面における水分子の拘束に注目した人工輸送チャネル膜におけるゲート機能の創出

研究課題

研究課題/領域番号 20K21120
研究機関東京工業大学

研究代表者

松本 英俊  東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (40345393)

研究分担者 林 靖彦  岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (50314084)
研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2022-03-31
キーワード水輸送チャネル / 分離膜 / カーボンナノチューブ / ナノ界面 / スリップフロー
研究実績の概要

本研究の目的は、代表者らが発見したカーボンナノチューブ(CNT)を水輸送チャネルとする膜に見られる温度に依存した透水流束の大きな変化を利用し、外部環境(温度・圧力勾配)をトリガーとした、新規なゲート機能の創出に挑戦し、外部刺激応答性を持つ人工チャネル膜の実現を目指すことである。
本年度は、全気相重合法を用いて、垂直配向CNTアレイ/高分子複合膜を作製し透水実験を行った。垂直配向CNTの作製には化学気相成長、CNT間隙への高分子の充填には気相重合、表面処理には酸素プラズマ処理をそれぞれ使用し、水輸送チャネルとなるCNTの平均層数3.2、チャネル平均内径3.9 nm、厚さ30 μmの膜を作製した。作製した複合膜について、温度制御が可能な全量ろ過式の加圧透水セルを用いて、圧力勾配0.1~0.5 MPa、測定温度15~45 ℃の条件下で透水実験を行った。
作製したCNTアレイ/高分子複合膜は圧力勾配および温度に依存する透水挙動を示した。得られた透水流量は、古典的な流れの式であるHagen-Poiseuille(HP)式から予測される流量の最大100倍程度の値を示しており、CNT内の透水挙動においてスリップフローが発生することが示唆された。そこで、スリップフローの影響を考慮した拡張したHP式を用いた解析を行った。拡張HP式を用いた解析の結果、CNT内における水の壁面速度は温度と圧力勾配の両方に大きく依存することを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

垂直配向CNTアレイ/高分子複合膜の作製・評価・解析については概ね順調に進捗している。本年度は透水実験の解析から、CNT内の透水挙動においてスリップフローが起こることを確認し、さらにCNT内での水の壁面速度が温度と圧力勾配の両方に大きく依存することをはじめて明らかにした。

今後の研究の推進方策

次年度は、サイズの異なる溶質分子(無機塩およびイオン性有機分子)をプローブとして垂直配向CNTアレイ/高分子複合膜の溶質透過実験を行い、温度や圧力勾配が分子選択性に与える影響について詳細に調査する。実験結果を基に、最終的に種々の外部環境におけるCNTチャネル内の水の構造、透水性、分子選択性の関係を説明できるモデルの構築を目指す。

次年度使用額が生じた理由

(理由)
購入を予定していた消耗品の納期が年度内に間に合わなかったため。
(使用計画)
製膜および溶質透過実験に必要な試薬の購入を予定している。また、次年度は研究員を雇用し研究の促進をはかる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] エネルギー・環境分野への展開を目指したナノファイバー材料の機能開拓2020

    • 著者名/発表者名
      松本英俊
    • 学会等名
      高分子学会・高分子同友会勉強会
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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