脳機能における記憶形成機構を分子レベルで理解することを目指し、高速原子間力顕微鏡(高速AFM)をカルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII(CaMKII)に適用し、その活性化状態を1分子レベルで可視化した。その結果、12量体を形成するCaMKIIは、中心にあるハブドメインが安定な構造をとる一方、周囲のキナーゼドメインはその周りを自由に動き回ることが分かった。さらに、Ca2+/CaMの結合とATPによるリン酸化状態では、キナーゼドメインはハブドメインから遠く離れ、より自由に動くサブユニットが出現することが分かった。これらの結果から、CaMKIIの信号積算メカニズムを提唱した。
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