研究課題
研究目的と研究実施計画に沿って、銀ナノ粒子を用いた伸縮性導電材料の作製方法について検討した。主に、素材となるエラストマーに銀ナノ粒子を組み込む操作と、銀ナノ粒子を不安定化させて融解させる操作を交互に繰り返して、伸縮性導電材料を作製する方法を検討した。それらの操作を繰り返すと、エラストマー内に導入される銀の量は、繰り返し回数に対して直線的に増加することが分かったが、さらに、それぞれの工程で溶媒に浸す時間を長くすると、繰返し回数に対する銀の増加率も単調に上昇することがわかった。また、走査型電子顕微鏡及び、エネルギー分散型X線分光法によって、銀を組みこんだエラストマーの断面の構造や元素分析を行った。その結果、溶媒で処理する時間が長くなるにつれて、エラストマーの表面から内部にかけて、エラストマーに浸透する銀の分布が広がる様子が確認された。ICP-OES(誘導結合プラズマ発光分光分析)を用いてエラストマーに導入される銀の量を計測しながら、溶媒に浸す時間を変えて種々の試料を作製し、その中から銀の導入量がほぼ一定に調節された試料を選別し、電気伝導率とひずみの関係を求めた。銀の体積分率が一定の条件であっても、エラストマーの内部にどのように銀が空間的に分布するかによって、初期の電気伝導率(ひずみ0%における電気伝導率)や、電気的パスが切断される時のひずみや電気伝導率に大きな差が見られ、伸縮性導電材料の性質が大きく変化することが観察された。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通りに進んでいる。
電気伝導性と伸縮性に優れた材料の開発を進める。
本年度に得られた研究成果と進捗状況を鑑みて、次年度に必要な物品の購入に充てるため。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
ChemNanoMat
巻: 7 ページ: 1099-1103
10.1002/cnma.202100299
Ultrasonics
巻: 116 ページ: 106510
10.1016/j.ultras.2021.106510
巻: 115 ページ: 106463
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