研究課題/領域番号 |
20K21134
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
岩長 祐伸 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主幹研究員 (20361066)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 光メタデバイス / GHz / 超高速 / 光スイッチング |
研究実績の概要 |
電子デバイスの高速化は、半導体素子の高繰り返し動作によって実現されてきた。現在、3 GHz 程度のクロック数がCPU(中央処理ユニット)の動作上限となって、伸びは頭打ちとなっている。小型・低電力動作の条件下で、飛躍的な高速化を目指すためには、新たな動作原理に基づくデバイスの創製が必要不可欠である。以前から、その有力な候補として光によって駆動、処理するデバイスが挙げられてきたが、スイッチングなどの基本的な動作を簡便に実現できていないため、今日に至るまで電子デバイスを凌駕できていない。本研究はこのような現状を打破することを目的とし、光メタデバイスの超高速化による100 GHz 超動作を目指して、2020 年度においては当初計画に沿って第一段階として数値計算による設計を実施した。数値計算のための環境整備を進め、ワークステーション、使用する有限時間差分法のソフトウェア使用環境を整備した。全光動作によるスイッチング動作には入出力用の導波が必要であり、その設計を行った。スイッチング動作の核心要素となるマイクロ構造に関する設計も行い、次年度の実験研究のための基礎的データの取得を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
数値計算による設計を2020年度の主眼として研究を実施した。マイクロ光デバイス用の数値計算環境が十分でなかったことから、有限時間差分法のソフトウェアおよび有限要素法によるソフトウェアのいずれにおいても数値計算を行うことができる環境を整備した。これにより、異なる方法による数値計算結果の整合性も担保するように配慮した。メタデバイスの数値的な設計を進めて、具体的な構造の候補を見出した。このようにナノ極微細加工への準備段階は整いつつある。実際の加工難度も考慮して、作製する光導波路マイクロ構造を決定して実験研究へと展開していく。また、光源制御のジェネレーターの導入をこの年度内に行った。当初計画のほぼ沿った形で研究は実施している。
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今後の研究の推進方策 |
数値計算による設計を実験によって検証しながら研究を進めていく。前年度からの繰り越し予算と合算して、GHz 変調光源を2021年度に導入する予定であり、実験環境の整備も速やかに進めていく。光メタデバイスの基本的な特性を明らかにしつつ、超高速光スイッチングの実現に向けて、実験・理論(数値計算および設計)の両面から研究を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
GHz 変調光源が本研究に必須装置であるが、前年度の予算だけでは購入できないため、次年度使用額と合算して購入する計画に変更した。部品に分けて購入することも可能ではあるが、各部品の調整などに不必要な労力を割くことになるため、1つの装置としてまとめて購入することを選択した。実験研究は次年度から本格的に行うため、研究遂行における支障は生じていない。
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