研究課題
挑戦的研究(萌芽)
高感度な熱量計を用いて、化学組成不均一性により比熱測定が困難であった鉄系超伝導体Fe(Se,S)や、Fe(Se,Te)を対象とした比熱測定を実施した。化学蒸気輸送法により均質な微小単結晶試料作の合成を行った。Fe(Se,Te)の比熱測定を行ったところ、電子比熱係数がTe量を増やすと単調に増大すること、及び超伝導状態の低エネルギー励起は非単調に変化することが分かった。この系におけるネマティック状態やトポロジカルな電子状態との関連性が期待される。
量子物性
本研究は、高感度熱量計の構築と、強相関電子系における新奇な電子状態の解明を目的としている。今回、比熱測定を行ったFe(Se,Te)においては、この系で発現する電子異方性(ネマティシティ)が、その超伝導状態と関係していることが示唆された。またこの系ではトポロジカルな性質も指摘されていることから、超伝導状態における新奇な素励起の可能性が期待される。