研究課題/領域番号 |
20K21140
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
馬場 暁 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80452077)
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研究分担者 |
L CHUTIPARN 新潟大学, 自然科学系, 助教 (90769316) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 銀微粒子 / グレーティング / 表面プラズモン |
研究実績の概要 |
本研究では、著しい光電場増強効果が得られる金属微粒子からなる金属格子ナノ構造を伸縮性フレキシブル基板上に作製し、局在・伝搬型表面プラズモン協働励起による大きな光電場増強で生じる光熱を利用した、プラズモニック光熱変換フィルムの創製を目指す。さらに、この光熱フィルムを皮膚に直接貼付可能な光熱殺菌フィルムなどへと応用することで、プラズモニック光熱効果の新たなデバイス応用へ展開することを目的としている。 この目的に対して、今年度はまず、スピンコート法で堆積した銀ナノ粒子インクにPDMSモールドでナノインプリントを行い、銀微粒子グレーティング薄膜の作製を行った。PDMSモールド形成のテンプレートとしては市販のBD-R,DVD-Rを使用した。その結果、良好な銀微粒子グレーティング薄膜が形成されることが分かった。次に、銀微粒子グレーティング薄膜の表面プラズモン共鳴励起反射率特性の測定を行った。その結果、局在プラズモンの励起に加えて、伝搬型表面プラズモンの励起による反射率ディップが確認された。また、広波長域に渡って反射率の大きな低下が観測された。これにより、この構造での局在型・伝搬型表面プラズモン励起についての知見を得ることができた。さらに、同時励起が及ぼす光熱特性への効果について検討を行った。リファレンスの銀薄膜に対して、銀微粒子薄膜では約3.1倍光熱発生温度が増加していることが分かった。これより、局在プラズモン励起による効果が得られていることが分かった。銀微粒子グレーティングの場合は、さらに変化が大きく、約4.4倍(DVD-R)、約4.1倍(BD-R)の光熱が発生した。これにより、局在型表面プラズモン励起に伝搬型表面プラズモン励起が加わることでさらに大きな光熱が得られることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の初年度~2年度の研究計画である(1)伸縮性フレキシブルプラズモニック光熱フィルムの開発、について上記のように実験を進め、下記3点の成果が得られた。 ①銀微粒子グレーティング薄膜の作製 ②銀微粒子グレーティング薄膜の表面プラズモン共鳴励起反射率特性の測定による局在プラズモンの励起・伝搬型表面プラズモンの同時励起の評価 ③銀微粒子グレーティング薄膜を用いて、局在型表面プラズモン励起に伝搬型表面プラズモン励起が加わることでさらに大きな光熱が得られることが明らかとなった これらの成果を基に、引き続き伸縮性フレキシブルプラズモニック光熱フィルムの開発についての実験を進めていく予定である。 以上のように、研究計画に対する成果が得られており、概ね当初の計画通り達成できた。これらの結果は、すでに学会での発表なども行っている。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度はこれまでに得られた研究をさらにすすめ、大面積で一様にプラズモンが強く励起するフィルムの開発を行う。このために、高濃度の金属微粒子を基板上に堆積した後に、シリコーン樹脂であるポリジメチルシロキサン(PDMS)を用いたナノインプリント法を用いる手法により金属格子構ナノ造を作製する。これにより、金属微粒子からなる格子構造が作製可能となり、局在・伝搬型表面プラズモンが相互作用しあう協働励起による大きな光電場増強現象が大面積で一様に得られるようにする。このために、作製したフィルムのフレキシブル・伸縮状態のプラズモン励起特性を明らかにすることが重要である。まず、有限差分時間領域(FDTD)法を用いたシミュレーションの結果を基に、プラズモン励起光電場層強減少について検討し、可視-近赤外域において複数のプラズモンを同時に励起する構造をPDMSなどのフレキシブル基板上に作製する。作製には、金属ナノ構造の形状・サイズや金属ナノ微粒子のナノ構造の検討が必要である。また、曲げ状態やストレッチ状態を変化させた場合における表面プラズモン励起とその光熱特性について熱電デバイスも用いて検討を行う。 また、得られた成果は国内・国外の学会で報告を行うことにより公表し、国際論文誌での誌上発表も積極的に行う。
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