研究課題/領域番号 |
20K21142
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大田 晃生 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (10553620)
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研究分担者 |
牧原 克典 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (90553561)
田岡 紀之 名古屋大学, 工学研究科, 特任准教授 (50626009)
洗平 昌晃 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 助教 (20537427)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | ゲルマニウム / 二次元結晶 / 電子物性 / 表面偏析 |
研究実績の概要 |
最終年度は、Al/Ge(111)構造の熱処理による形成する極薄Ge層について、Ge表面偏析や結晶構造の分析、極薄Ge層のSiO2/Si基板上への転写に注力して、研究を推進した。 XPS分析より、熱処理によりAl 酸化物と Al(111) の界面にGe が偏析することが分かった。極薄Ge層の平均膜厚をXPS信号から大まかに調べた結果、Ag/Ge構造の場合と同様に、極薄Ge層の平均厚さをサブナノメートルスケールで調整するためには、熱処理時間よりも温度の制御が重要であることが分かった。また、TDS測定では、超高真空中の600度以下の熱処理では、試料からGeO の熱脱離は検出されなかった。Al/Ge(111)上での極薄Ge 層の形成として、熱処理中に金属薄層中へ拡散したGe 原子が、室温まで冷却する際にGe固溶度の低下に起因して、極薄Ge層が表面偏析することに加えて、低温の領域では結晶粒界などを介したGe拡散の寄与も示唆された。 別途、Arイオンスパッタリングと熱処理による表面洗浄化した後、430度で熱処理することで、LEEDとSTM分析よりAl(111)3×3構造にマッチした2x2のゲルマネンが広い領域に形成することが分かった。放射光を用いた光電子分光分析より実測したゲルマネンのエネルギーバンド分散は理論計算より見積もった結果と一致した。 さらに、Al/Ge(111)構造に酸素プラズマを施した後、熱酸化SiO2/Si構造を支持基板として、表面同士を密着することで、両者を張り合わせることができた。その後、張り合わせた試料を熱処理することで密着性を向上させ、CMPと化学溶液の二段階の処理によりGe(111)基板をエッチング除去し、極薄Ge層を転写できることが分かった。これらは、表面偏析を利用した極薄Ge層をデバイス応用に展開する材料・プロセスに対して、重要な知見が得られたと考えられる。
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