研究課題/領域番号 |
20K21153
|
研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
米田 仁紀 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 教授 (00210790)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
|
キーワード | レーザー / 高出力レーザー / ガス光学素子 / 共振器 |
研究実績の概要 |
中性ガスを利用した超低挿入損失光学素子による高ピーク強度高平均出力レーザーの開発に向けて、まずは再生増幅器への応用を目指した球面波発生の中性ガス回折光学系を開発した。一般に高強度レーザーでは、そのパルス当たりのエネルギーをレーザー媒質から引き出すために、再生増幅器が使用される。その際、通常は電気光学素子を用いたスイッチが共振器構造をとった光学系内に光を入れるために使われるが、そこでの波面乱れやレーザー耐力の低さによる制限、大きさの制約などがあった。そこで、オゾンを使った回折光学系のナノ秒レーザーに対する使用レーザー強度が3桁以上高くなることを利用して、再生増幅器内の像転送光学系となる空間フィルター内の集光点近傍から光を注入する設計を行った。これには、これまでの平面波用光学素子ではなく、球面波に対応したものが必要になる。そこで、不当間隔の回折格子を設計し、それを実現する紫外干渉計を試作、その原理実証を行った。 一方、共振器蓄積型レーザー開発では、その共振器にカップルするパルスレーザーの開発を行った。共振器にロックさせるためには、周波数の安定度も必要になるため、DFBレーザーを基にし、それをEO変調器でサブナノ秒までパルス化できるシステムの開発を行った。さらに、低損失ミラーを使った共振器を製作し、そこへのレーザーの蓄積とその安定化システムの開発を開始した。これらを基に、ガス素子を用いた高出力化レーザー実現に向け、システム全体を設計できるようになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で大学に来れない時期もあり、実験開始には時間を要した。また、物品もアメリカからの製品の一部が遅れることもあって、遅延していたことがある。しかし、その間は、共振器設計や、既存システムを用いてのレーザー開発などを行うことで、おおむね当初予定の状態にまでなっている。
|
今後の研究の推進方策 |
より安定な素子動作をまずは実現させることと、オゾンの生成系排気系などを簡略化する目的でガスセル方式の光学素子を試作する。また、当初の目的でもある共振器ロックとそこからの蓄積されたレーザー取り出しだけでなく、パルス列レーザーでの共振器ロックとその取り出しに向けてシステム試作を行っていく。
|