研究実績の概要 |
オゾンを用いたガス光学素子の開発及び応用への原理実証向けて、以下のことを行った。 (1)オゾンレンズの高性能化:オゾン回折格子に曲面上の縞構造を作ることで、集光レンズにもなるレンズ系光学系が製作できることを実証し、実際に150mJ, 6nsの波長1μmレーザーを集光させ、大気中でエアーブレークダウンが起きるほど機能していることが分かった。また、回折波とオゾン回折格子上の縞構造の位相整合条件により、回折波が生じる範囲が限定されることがあったが、入射波側に予めこれにマッチするような光学系を挿入することで、円形開口での完全なレンズとしてなりえる光学素子が形成できることを示した。 (2)レーザーシステムへの応用:このオプティックスを実際のレーザーシステムへ応用させるために、共振器を構成した内部でオゾン光学素子が過渡的に生成されるシステムを構築した。これには、超低損失ミラーによる高フィネス共振器をオゾンセル内で設置できるようにし、外部からスイッチとなる紫外レーザーをスイッチ部の直前で挿入できるような構造になっている。オゾンを入れることで、こうフィネス性が低下するかの懸念があったが、ほぼ大気条件通り10^5程度のフィネスが得られることが明らかになった。 (3)レーザー増幅器段間の光学素子応用:得られたパルスレーザーをさらに増幅させようとした場合、レーザー媒質中で生じる歪みを補正する必要がある。このオゾン回折格子は設計した波面のみ回折させることが可能なので、原理実証として乱れた波面を挿入した際の波面の選択性を試験した。その結果、10λ程度にまでランダムに波面乱れが起きた場合にも、その内部になる単一波面のみを抽出できることが明らかになった。
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