研究実績の概要 |
本研究では、プラズモン導波路として機能する化学合成で作成した直径100nm、長さ数十µmの銀ナノワイヤー(AgNW)をAFMカンチレバー先端に導入することで、10nm以下の高い空間分解能を有する新たな「リモート励起探針増強蛍光(RE-TEF)顕微鏡」の開発を目指した。本技術の鍵となる点は、遠方場光を導波路にカップリングするための、「光カップリングポイント」をいかに銀ナノワイヤーに導入するかである。本研究では、ガルバニック置換反応、光誘起金ナノ粒子局所析出法、2本のAgNWを並べる方法を比較した。その結果、光誘起金ナノ粒子局所析出法でAgNW上に金ナノ粒子を導入した際には、リモート励起は可能であるが光カップリング効率が低く、かつ金ナノ粒子からの発光がノイズとなるため、RE-TEFでは十分な信号ノイズ比が得られなかった。反して、平行にならべた2本のAgNWをカンチレバーに導入した場合(2AgNWsプローブ)、特にノイズが減るため、RE-TEFでも十分な信号ノイズ比が得られることが明らかとなった。この2AgNWsプローブを用いたRE-TEFでは、50 - 100 nm程度の空間分解能でスペクトルマッピングが可能であり、新規光DNAマッピング解析、2次元半導体材料解析、細胞内増強ラマン測定に応用できることを示した。これらの結果は、査読付き国際論文(Analytical Chemistry, Nano Letters, ACS Applied Nano Materialsなど)に発表した。
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