研究課題/領域番号 |
20K21175
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分32:物理化学、機能物性化学およびその関連分野
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
香月 浩之 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (10390642)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | 振動ポラリトン / マイクロキャビティ / 液晶分子 |
研究成果の概要 |
本研究では、10マイクロメートル程度のキャビティ長を持つ光キャビティ内に液晶分子と中赤外光子を閉じ込め、振動ポラリトンと呼ばれる光と物質の混ざり合った量子状態を作成した。温度変化によるイソトロピック相からスメクティック相への相転移により分子配向が揃うことが振動ポラリトンに及ぼす影響について、角度分解透過スペクトルから解析を行なった。どちらの相でも強結合状態は達成され、スメクティック相において配向と電場を並行にした場合にラビ分裂がイソトロピック相よりも増大し、直交させた場合には減少することが確認された。分子配向がマクロスコピックな協調的遷移モーメントを形成し、ラビ分裂を変調したことが示された。
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自由記述の分野 |
コヒーレント制御、超高速分光
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
配向の揃った液晶分子をマイクロキャビティ内に閉じ込め、光子と分子振動の強結合状態(振動ポラリトン)を作成した。配向相において分子間の協調効果が働き、イソトロピック相と比較してラビ分裂パラメータが大きく増大することが確認された。また、吸収の偏光依存性とラビ分裂の大きさから、液晶の配向軸のばらつきについて見積もることができることが示された。また本結果は、振動ポラリトンを利用した化学反応制御への応用においても、分子の配向を揃えることでラビ分裂パラメータを増大させ、振動ポラリトンの効果を増幅できる可能性を示唆しており、化学反応への応用にも有効であると考えられる。
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