研究課題/領域番号 |
20K21183
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
澤村 正也 北海道大学, 理学研究院, 教授 (40202105)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | ペプチド / アミノ酸 / 有樹ホウ素化合物 / 不斉触媒 / C-H活性化 |
研究実績の概要 |
アミノ酸のカルボキシル基がボロン酸で置換された化合物はボロアミノ酸と呼ばれ、これを含むペプチド系化合物(ボロペプチド)の医薬原体としての応用が近年大きく発展している。特にボルテゾミブはプロテアソーム阻害作用に基づく優れた抗がん剤として注目の化合物である。本研究者は、光学活性ボロアミノ酸を高効率に生成する窒素原子隣接C(sp3)-H不斉ホウ素化反応の開発に成功し、ペプチド型化合物の位置および立体選択的ホウ素化によりボルテゾミブを極めて高い効率で合成できることも実証している。本研究はこの成果を基盤とし、中分子ペプチドの医薬候補化合物群としての有用性に着目して、C-H不斉ホウ素化に基づくボロペプチド化学の萌芽を創出することを目的とするものである。具体的には、中分子ペプチドの不斉C-Hホウ素化によるボロペプチドの合成とボロペプチドの炭素-ホウ素結合を利用したペプチド鎖伸長・環化反応による中分子ペプチドの合成を目指した研究を実施する。応募者がこれまで注力してきた触媒的不斉合成、有機ホウ素に関する研究をペプチド化学やケミカルバイオロジーに大きく展開する挑戦性の高い萌芽的研究構想である。 計画書提出時は投稿中であった論文について、その後の補充実験の結果を加えて修正した後、 アメリカ化学会誌にFull Paperとして受理された。また、基盤研究Aの課題として脂肪酸アミドのγ位でのエナンチオ選択的C-Hホウ素化に成功し、Science誌に発表した。生成物のホウ素化カルボン酸アミドを、イソシアネートとの反応によりγ-アシルアミノ化体に変換できるので、ボロペプチド化学に貢献できると期待している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度本研究を主に担当する予定であった留学生がCovid-19のため入国を阻まれ、結局現時点でも入国できていない。研究室全体に人員の余裕はなく、全体として当初計画通りには進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
ロジウム触媒による窒素隣接位のC-Hホウ素化によるアミノボロン酸の合成とその利用を勧めつつ、新たな展開として、イリジウム触媒によるカルボン酸誘導体の遠隔位不斉C-Hホウ素化反応の生成物のペプチド化学への応用を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に担当することを予定していた留学生がCovid-19のため入国できず、代わりの人員を配置することもできなかったことで、当初の計画通りに研究を実施できなかっため。
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