研究実績の概要 |
「電位入力型ON/OFF機能の付与された双安定性分子ジャンクションの創成」に関する本研究課題では、電気化学的双安定を持つ分子の探求が必要であり、本年は新規物質開発とあわせ、これまで合成された分子群の特性を集約する網羅的な調査を行って、2つの総説論文を発表した。1) "Redox-active Tetraaryldibenzoquinodimethanes," Y. Ishigaki, K. Sugawara, T. Tadokoro, Y. Hayashi, T. Harimoto, T. Suzuki, Chem. Commun. (Feature Article) 2021, 57, 7201-7214 [DOI: 10.1039/D1CC02260A]. 2) "9,9'-Bi(xanthene)-Type Hexaphenylethane Derivatives as Advanced Organic Electrochromic Systems", T. Suzuki, Y. Ishigaki, M. Takata, J. Nishida, T. Fukushima, Heterocycles 2021, 102, 419-450 [DOI: 10.3987/REV-20-938]. また、分子内に2つの動的酸化還元系骨格を持つ5,7,12,14-テトラキス(ジアリールメチレン)ペンタセンを合成し、最大で+4価のテトラカチオンとなるその分子のジカチオン状態を単離して特性調査を行った。動的酸化還元骨格の一方は完全な中性型、もう一方完全なジカチオン型としての特性を示し、その状態にて電子交換が起こらないことを確認できたことは、電位入力型ON/OFF機能に不可欠な特性を実証できたことを示すものである。
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