本研究は、炭素-炭素結合の非標準的状態として単結合の長さに注目し、2Åを超える単結合を持つ化合物を創出し、その特殊な結合状態の電子構造の解明と、特異な反応性・物性の探索を通じて、有機化合物の新たな可能性を引き出すことを目的とした。実際に市販のフルオレノンから5段階で2.04Åの単結合を持つ化合物の単離に成功し、各種分光測定や量子化学計算の結果、その長い単結合は共有結合性を十分に有していることが明らかとなった。その他、長い結合間の相互作用を調べる目的で、分子内に2つの長結合を有する二種類の化合物の合成に挑み、その前駆体となるジアニオン種の発生まで成功した。
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