研究課題/領域番号 |
20K21206
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
秋根 茂久 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 教授 (30323265)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 分子カプセル / かご型分子 / 動的構造変換 / 包接化合物 / 応答性分子 / 分子認識 / 環状化合物 / コバルト錯体 |
研究実績の概要 |
本研究では、金属配位により駆動される構造変換を活用し、ゲストの取り込み・放出を制御できるようなかご型ホスト分子の開発を目指す。かご型ホスト分子は、その内部空間をゲストの保存のための場として利用できる可能性があることから近年注目され、盛んに研究が行われてきた。しかしながら、従来の多くのホストの場合、取り込んだゲストを完全に保持することはできなかった。これは、ホストがゲストを取り込めるか否かがゲストサイズと開口部の大きさの相対的な大小関係のみによって決まっているので、空孔内部に入り得るゲストは空孔内部から出ていくことも同様に可能であるためである。そこで本研究では伸縮機構など配位結合によって駆動される分子構造変換を活用し、効果的にゲストの保持・放出をコントロールできるシステムの開発を目指すこととした。まず、大環状二核コバルトメタロホストの開口部に架橋型配位子を導入し、ゲストの包接能の変化について検討した。マクロサイクル錯体と架橋型配位子の反応により、両方の開口部が閉じた構造と片側が開いた構造の二種の錯体を得ることができた。また、両方が閉じた構造の錯体に酢酸イオンを加えることで、片側が開いた構造に変換することができ、その際に大幅に包接能が向上することを見出した。また、カプセル状分子の部分構造となる各種お椀状分子を合成し、その二量化によるカプセル分子の合成についても検討を行った。その結果、サリチルアルデヒド部位を導入したカリックスアレーン誘導体から効率的にカプセル分子が得られることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゲスト認識能の制御が可能な架橋型大環状コバルト錯体の合成に成功し、その動的構造変換によるゲスト認識制御を達成できたため。
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今後の研究の推進方策 |
研究初年度において、金属イオンをゲストとして包接できる大環状メタロホストの合成と認識制御について明らかにすることができた。2021年度は、お椀型骨格の連結による分子カプセルの合成とそのゲスト認識能制御について検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は、交付決定が夏ごろとなったことに加え、新型コロナウィルス感染対策のため縮小しながら研究を進めたため、試薬などの消耗品類への支出の一部を次年度に繰り越した。また、新型コロナウィルス蔓延のため、成果発表のための学会発表は軒並みオンライン開催となり、旅費の支出が不要となった。 2021年度は、学会等が現地開催となった場合には旅費を支出し、オンライン開催となった場合には試薬等消耗品への支出に充てる計画である。
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