研究課題/領域番号 |
20K21213
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
速水 真也 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (30321912)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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キーワード | ダイヤモンド / 酸化グラフェン / 窒素ドープ |
研究実績の概要 |
本研究では、ダイヤモンドの合成材料としてGOナノシートに着目した。グラファイトを酸化することで作製されるGOナノシートは、そのナノシート表面に多数の酸素官能基(エポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基など)を有しており、sp3のドメインが広がっている。このGOナノシートは様々な手法(化学還元、熱還元、光還元など)で還元することができ、還元後の酸化グラフェン還元体(rGO)は、酸素官能基のほとんどが脱離し、ヒドラジン還元すると窒素がドープされる。そのほか、同様にホウ素やリンあるいはハロゲンなどもドープすることができる。したがって様々な元素を炭素材料にドープすることができるため、これらを原料にした様々な原子をドープしたダイヤモンドの合成が可能となる。 ダイヤモンドの合成は、GOのドープによるダイヤモンドの合成に適した高温高圧合成法とダイナマイトなどによる衝撃波を用い合成を行った。GOナノシートやヒドラジン還元により窒素ドープしたrGOを用いて、愛媛大学PRIUSにおける高温高圧によるダイヤモンドの合成に成功した。その他、ダイナマイトの衝撃波を用いたダイヤモンドの合成も熊本大学の産業ナノマテリアル研究所で行い、さらにDACやレーザー照射によるダイヤモンドの合成にも成功した。これら得られたダイヤモンドは、超伝導、半導体、磁性体などの性質を見出すことに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酸化グラフェン(GO)からダイヤモンドを様々な手法で合成することに成功し、それらのドープダイヤモンドから超伝導だけでなく、磁性などの物性も発現させることに成功した。ただし超伝導の再現性が難しく、さらなる合成条件を検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
酸化グラフェン(GO)からダイヤモンドを高温高圧合成法、ダイナマイトなどによる衝撃波による合成さらにはDACやレーザー照射により合成する。その際に圧力や温度などの合成条件が重要であり、これらの合成条件をさらに最適化する。それらドープダイヤモンドから超伝導や磁性などの物性を再現よく引き出す。さらにNVセンターを有しているため、磁気センサーやスピンキュビットとして評価することで、ダイヤモンド磁気センサーなどへと展開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
高温高圧実験施設がコロナ禍のため使用制限されており、予定通りの実験回数をこなすことができなかったため。
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