研究課題
挑戦的研究(萌芽)
アセチルアセトン誘導体を繰り返し単位とする単分散ポリケトンを用いて環状のポリケトン構造を作り出し、続くPaalーKnorrヘテロ芳香環形成反応によって”張力”に相当する環歪みエネルギーを持ったポルフィリン類縁体環状化合物を作り出すことに成功した。Calix[3]pyrroleと称されるこのポルフィリン類縁体では、酸性条件下において張力をエネルギー源とする「歪み誘起環拡大反応」が起こることを発見し、高次Calixpyrrole類の新たな合成経路の発見にも繋がった。
構造有機化学
分子ひもの張力が引き出す新しい化学反応として、ポリケトン分子ひもから合成されたCalix[3]pyrroleおよびその類縁体の歪み誘起環拡大反応を発見するに至った。この反応によって得られる高次Calix[n]pyrrole化合物は、アニオンの捕捉を通してイオン交換樹脂やセンサーなど様々な応用用途が知られている有益な大環状化合物である。本研究における張力を発現する分子ひもから得られた発見は、そのようなアニオン捕捉分子を高選択的かる効率的に合成する手法の確立に繋がったと考えられる。