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2022 年度 実績報告書

固相で実現する「進化型」高分子主鎖変換反応の開発と自己修復材料への応用

研究課題

研究課題/領域番号 20K21219
研究機関信州大学

研究代表者

高坂 泰弘  信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (90609695)

研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2023-03-31
キーワード共役置換反応 / 高分子分解 / 主鎖切断反応 / 無溶媒反応 / ミキサーミル / メカノケミカル重合 / ビトリマー / 動的架橋
研究実績の概要

前年度に発見したビス[2-(ブロモメチル)アクリレート]とジカルボン酸のメカノケミカル重縮合について,モノカルボン酸を用いて反応機構を解析した.安息香酸カリウムとの固相反応は1時間後も20%程の進行に留まる一方で,トリエチルアミンを共存させると90%まで進行した.さらに,ビス[2-(ブロモメチル)アクリレート]とトリエチルアミンの反応が40%程度に留まる一方で,予めトリエチルアミンとの反応で生じるアンモニウム中間体を単離し,モノカルボン酸を反応させたところ,反応度は90%に達した.以上から,トリエチルアミンは反応を加速する触媒で,ビス[2-(ブロモメチル)アクリレート]とトリエチルアミンの反応が律速段階であることが示された.トリエチルアミンは生成ポリマーの主鎖切断を引き起こす触媒でもあるが,以上の結果は,その使用が重合に不可欠であることを示している.次に,種々のモノマーを用いてメカノケミカル重合を検討したところ,溶媒を使用せず,環状オリゴマーを形成しにくい直線的な構造の固体モノマーほど,高重合度ポリマーを与えることがわかった.メカノケミカル重合は,2,6-ナフタレンジカルボン酸のような難溶性のモノマーの重合も可能にした.
一方,アクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体を合成し,これをポリカルボン酸と見立てて,ビス[2-(ブロモメチル)アクリレート]との共役置換反応に基づく架橋を行った.得られたゲルは溶媒不溶で加熱溶融もせず,動的粘弾性試験で架橋構造が確認された.一方で,ごく少量の3級アミン触媒を共存させると,動的粘弾性試験で架橋構造が確認される一方で,熱プレスによる成形が可能であった.応力緩和試験の結果,この架橋体が高速で架橋点を組み替えるビトリマーであることが明らかになった.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ケミカルリサイクルを志向したビニルポリマーおよびポリエステルの分子設計2022

    • 著者名/発表者名
      川谷 諒, 野田 拓海, 赤江 要祐, 髙坂 泰弘
    • 雑誌名

      日本ゴム協会誌

      巻: 95 ページ: 319-325

    • DOI

      10.2324/gomu.95.319

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 分子レベルでの資源再生を目指した易分解性高分子の開発2022

    • 著者名/発表者名
      高坂 泰弘,川谷 諒
    • 雑誌名

      繊維学会誌

      巻: 78 ページ: 111-115

    • DOI

      10.2115/fiber.78.111

  • [雑誌論文] Polymer chemistry of α-substituted acrylates designed for functional-group synergy2022

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro Kohsaka, Yosuke Akae, Ryo Kawatani, Akane Kazama
    • 雑誌名

      J. Macromol. Sci. Part A: Pure and Appl. Chem.

      巻: 59 ページ: 83-97

    • DOI

      10.1080/10601325.2021.1989311

    • 査読あり
  • [学会発表] 共役置換反応による可逆的カルボン酸交換を素反応に用いた重縮合の開発2022

    • 著者名/発表者名
      手塚 紗英,高坂 泰弘
    • 学会等名
      第71回高分子討論会
  • [学会発表] 共役置換反応を利用した不飽和ポリエステルの無溶媒合成・無溶媒分解2022

    • 著者名/発表者名
      木村 陸人,高坂 泰弘
    • 学会等名
      第71回高分子討論会
  • [学会発表] 26.同一骨格内での連続的な共役置換反応を利用した重縮合:低炭素密度ポリマーに向けたモノマー設計2022

    • 著者名/発表者名
      萩原 敬人,宮崎 匠,木村 陸人,平松 彬,高坂 泰弘
    • 学会等名
      第71回高分子討論会
  • [学会発表] 共役置換反応を利用したネットワークポリマーの架橋と解架橋2022

    • 著者名/発表者名
      大矢 高史,西家 菜摘,高坂 泰弘
    • 学会等名
      第71回高分子討論会
  • [学会発表] 共役置換反応による新奇重合反応の開拓2022

    • 著者名/発表者名
      高坂 泰弘
    • 学会等名
      第99回高分子若手研究会[関西]
    • 招待講演
  • [図書] 海洋汚染問題を解決する生分解性プラスチック開発~分解性評価から新素材まで~2022

    • 著者名/発表者名
      野田拓海,高坂泰弘
    • 総ページ数
      406
    • 出版者
      エヌ・ティー・エス
    • ISBN
      978-4-86043-814-2

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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