研究の目的は、散乱実験ではほとんど利用されていないテンダーX線を使ったナノ構造解析手法の拡張である。特に水環境(含水・水蒸気下)での散乱実験が行える施設装置の高度化と、その成果を世界に先駆けて示すことである。散乱実験に特化した試料合成と水環境下でのテンダーX線散乱測定を可能にする特殊試料セルの開発を行った。テンダーX線散乱実験では、空気によるX線の吸収が大きいため、試料回りの環境は真空であるが、試料の乾燥を防ぐ試料セルとなっている。この特殊セルにより、硫黄およびリン含有高分子試料の水環境下での散乱実験が可能となり、試料中の水存在領域における特定元素の分布状態を詳細に解析することが可能となった。
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