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2020 年度 実施状況報告書

青色発光する非ペロブスカイト型ヨウ化物の開拓:CuI4四面体の低次元配列

研究課題

研究課題/領域番号 20K21242
研究機関中部大学

研究代表者

山田 直臣  中部大学, 工学部, 教授 (50398575)

研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2023-03-31
キーワードヨウ化物 / 青色発光 / ワイドギャップ半導体
研究実績の概要

本研究計画では、3年間かけて未開拓物質であるCu2ZnI4とCuGaI4の発光材料としてのポテンシャルを明らかにすることを目的としている.初年度である2020年度は、Cu2ZnI4の粉末合成と構造解析ならびにCu2ZnI4の薄膜化プロセスの開発を行った。
Cu2ZnI4粉体は工夫を要する。CuIとZnI2の混合粉末を熱処理することで合成可能と報告されているが、ZnI2の潮解性に起因して再現性が悪いことがわかった。検討の結果、CuIと金属Znそして固体I2を真空ガラス封入し、350℃で24時間熱処理することで、粉末が再現良く得られることを明らかにした。Cu/Zn比が量論比からずれた粉体合成も行い、Cu2ZnI4はCu/Zn比を定比(2)から大きくずらしても構造を保つことがわかった。
上述の粉末試料を原料とした真空蒸着法によりの薄膜化に取り組んだ。加熱した基板上に成膜すると目的のCu2ZnI4薄膜ではなく、CuI薄膜が得られることがわかった。ZnI2の蒸気圧が極めて大きいので、成長中の薄膜からZnI2が蒸散していると仮説を立てた。この仮説に基づき、非加熱基板へCu-Zn-I前駆体薄膜を蒸着し、それを100℃程度で真空熱処理すれば、目的のCu2ZnI4薄膜が得られると考えた。実際、このプロセスにより世界で初めてCu2ZnI4の薄膜化に成功した。
得られたCu2ZnI4薄膜の発光特性をフォトルミネッセンス法にて評価した。その結果、薄膜は室温下で波長420 nmの紫色光を示すことがわかった。この発光は励起子遷移によるものと考えられる。現状、量子効率はかなり低いと予想される。Cu2ZnI4薄膜の結晶性を改善することで、量子効率の向上が可能になると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の予定通りにCu2ZnI4の薄膜化に成功した。ここまではおおむね順調である。しかし、現状得られているのは多結晶薄膜であり、目標であったエピタキシャル薄膜が得られていない。コロナ禍の影響で、研究開始が遅れたためにエピタキシャル成長のためのプロセス開発を行う時間が十分でなかったことが原因である。

今後の研究の推進方策

開発した薄膜化のプロセスは、室温成膜と熱処理の2段階が不可欠である。そのため、エピタキシャル成長させるためのプロセス開発にはかなりの時間を要することが予測される。
そこで、2021年度は多結晶薄膜に注力し、当初2年目に予定していたハロゲン置換による物性制御を多結晶薄膜で行い、物性の概要を早急に明らかにすることに取り組む。ハロゲン置換の研究は時間がかからないと予想されるので、その後にエピタキシャル成長のプロセス開発に取り組む予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルスの影響で研究の開始が遅れた。そのため、薄膜のエピタキシャル成長のプロセス開発に取り組むことができなかった。そのため、予定していた単結晶基板の購入用の費用を繰越すことになった。2021年度に単結晶基板の購入に充てる予定である。
なお、参加を予定していた学会がオンライン開催になったので、予定していた旅費は試薬等の消耗品に充て、合成の試行回数を向上、ひいては再現性を十分に確認することに役立てた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 三元系ワイドギャップCu2ZnI4の合成と電子物性の調査2021

    • 著者名/発表者名
      山田 英明、岡田 修治、谷田 悠太、山田 直臣
    • 学会等名
      第68回応用物理学会春季学術講演会

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公開日: 2021-12-27  

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