研究課題
近年、オートプシーイメージングなどの3D可視化技術により、死因究明技術の精度が上がりつつある。しかしながら、解像度が不十分なため、肉眼的所見が非常に軽微な血管の破綻部位の検出や挫創・切創における凶器の正確な特定は依然として困難である。また、標識技術と組み合わせることができないため、組織内部の受傷後の時間経過などを推定することも極めて困難である。本研究は、ヒトの死後検体を、形態を保持したまま高度に透明化し、ケミカルプローブを利用して高解像度かつ網羅的に受傷臓器を3Dイメージングすることで、正確な死因を特定する新規死因究明法の確立を目的とする。本研究で開発する透明化試薬は、腐敗臭を有する検体にも適用できることから、腐敗・水死・ミイラ検体への適応性も検討する。死因部位の網羅的な探索や凶器の特定、受傷経過時間の定量的解析により、世界標準の死因究明技術を開発する。死因となりうる種々の臓器の網羅的高解像度イメージングにより、受傷部位・期間を特定することで、死因究明の実現可能性を評価する。凶器と受傷部位が明確な法医学サンプルを用いて、受傷部位の立体構造と凶器を照合し、どの程度正確に凶器を推定できるか評価する。昨年度は透明化プロトコールの開発に成功したため、本年度は実際の皮質動脈破裂による硬膜下血腫6例の病変部位を用いて透明化・3Dイメージング解析を行った。4例で皮質動脈破裂の検出に成功し、肉眼観察では見逃していた破裂も検出可能であることが分かった。肉眼及び2次元の組織分析では不可能であった破裂部位と周囲小動脈の3次元的な形態解析が可能となった。
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