研究課題/領域番号 |
20K21247
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
甲斐田 大輔 富山大学, 学術研究部医学系, 准教授 (60415122)
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研究分担者 |
東田 千尋 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (10272931)
伊野部 智由 富山大学, 学術研究部工学系, 准教授 (50568855)
石神 健 東京農業大学, 生命科学部, 教授 (70292787)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | ユビキチン / プロテアソーム |
研究実績の概要 |
ユビキチン-プロテアソーム系 (以下UPS) は、異常タンパク質や機能を終えたタンパク質を分解し、細胞内の恒常性を守る必須の機構である。老化に伴いUPSの活性は低下し、その結果、異常タンパク質が細胞内に蓄積することが、様々な老化関連疾患の原因となり得る。したがって、人為的なUPSの活性化は老化関連疾患を抑制できると期待される。我々は、低分子化合物Aが、UPSによるタンパク分解を活性化し、その結果アルツハイマー病の症状を緩和することを示唆するデータを得た。本年度は、化合物AがUPSを活性化する分子機構を明らかにするために、以下の実験を行った。 細胞をユビキチン化に必要なユビキチン活性化酵素の阻害剤MLN7243および化合物Aで処理したのち、UPSにより分解される種々のタンパクの量を観察したところ、MLN7243処理により化合物Aの効果が抑制されることが明らかとなった。このことから、化合物AはUPSによるタンパク分解を活性化しているといえる。しかしながら、化合物A処理により、プロテアソームの活性は上昇せず、プロテアソームの構成因子のタンパク量も増加しないことが明らかとなった。さらに、活性型の26Sプロテアソームの増加していなかった。 次に、化合物Aが各種ストレス条件下で形成されるストレス顆粒に与える影響を観察したところ、化合物Aがストレス顆粒の形成を部分的に抑えるという結果も得られた。このことも、化合物AがUPSによるタンパク分解を活性化していることを支持するものである。
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