研究課題/領域番号 |
20K21248
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
大神田 淳子 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (50233052)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | KRas / ファルネシル転移酵素 / ゲラニルゲラニル転移酵素 / たんぱく質間相互作用 / 2座型化合物 / ペプチドミメティクス / 抗がん剤 / 中分子 |
研究実績の概要 |
がんの90%以上に見出される変異KRasは、MAPK増殖シグナルを亢進するがん因子として常に重要な創薬対象であるが、その異常な脂質翻訳後修飾が化学的なKRasの制御を困難にしている。我々は、KRas C末端の塩基性領域とファルネシル転移酵素(FTase)及びI型ゲラニルゲラニル転移酵素(GGTase I)の酸性領域間の過渡的たんぱく質間相互作用(PPI)を標的とした医薬品研究を展開し、両酵素の活性ポケットと酸性PPI作用面を1分子で認識する2座型化合物が細胞内でKRasの脂質修飾を抑制し細胞増殖阻害活性を示すことを明らかにしてきたが、分子内のチオール基が代謝的に不安定であり分子構造に改良の余地が残されていた。本研究では、ピペリジン骨格を土台としたペプチドミメティクスを新たに合理設計し、これらの酵素阻害活性の評価および新規2座型化合物への展開を検討した。KRasのC末端CVIMテトラペプチドの伸長配座の結晶構造に基づいて、ピペリジンにアミドもしくは尿素リンカーを介してメチオニン残基、また還元的アミノ化によりイミダゾールを組み込んだ化合物を種々合成した。In vitro酵素阻害活性試験の結果、尿素型N-ベンジル誘導体が、FTaseに対してnMレベルの極めて強い阻害活性を示すことが明らかになった。さらにこの化合物にリンカーを介してグアニジル基を付与した2座型阻害剤を設計・合成し、FTaseに対する阻害効果を検討した結果、従来の化合物を凌駕するdual阻害活性を示すことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高活性ピペリジン含有新規ペプチドミメティクス阻害剤を創出し、この化合物に酵素表面作用点を付与した新規2座型化合物を設計・合成した。in vitro酵素活性阻害評価により、これまでの2座型化合物を大きく上回るKRas脂質修飾阻害活性を示す化合物を見出すことに成功し、今後の生物活性試験に向けて有益な知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2年度目は、in vitro酵素活性阻害試験により化合物の詳細な阻害機構を明らかにするとともに、2座型化合物の構造展開、NIH3T3細胞を用いた評価によるKRas脂質阻害活性と信号伝達系の下流に及ぼす効果の検証に取り組む。また、動物実験により候補化合物の毒性および代謝試験を実施する。結果を踏まえてKRas変異がん担持マウスモデルを用いた抗腫瘍活性試験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由 助成金が交付された年度後半では有機合成実験に注力しており、細胞および動物実験に係る予算を次年度に繰り越した。 使用計画 細胞の購入と細胞実験、動物を用いた毒性および薬物動態試験および抗腫瘍活性試験に掛かる費用に充てる。
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