本研究では、細胞内のさまざまなタンパク質を、一種類の小分子化合物によって、特異的かつ確実に素早く阻害することのできる高汎用的で革新的なタンパク質機能阻害技術を開発することを目的とする。そのための戦略として、本研究では、小分子に応答して標的タンパク質を内部に取り込むことのできる人工相分離タンパク質コンデンセートシステムを開発する。今年度は以下の成果を挙げた。 1)第二世代人工タンパク質コンデンセートシステムの開発。昨年度までに開発した人工タンパク質コンデンセートはゲル状の物性を示すため、標的タンパク質をコンデンセートの深部まで取り込むことが難しいという問題点があった。今回、この課題に取り組み、より流動性の高い第二世代人工タンパク質コンデンセートの創製を行った。 2)小分子誘導型人工相分離システムの開発。上記のシステムでは、細胞内に発現させるだけで自己集合して人工タンパク質コンデンセートを常時細胞内に形成する。これとは異なるアプローチとして、初期状態では拡散状態の人工タンパク質が、小分子添加をトリガーとして自己集合・相分離し、その内部に標的タンパク質を取り込み、隔離するシステムの構築を行った。
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