先進国では炎症性疾患の発症率が増加しており、「抗炎症性機能を持つ食品成分の活用」が求められている。樹状細胞は抗炎症免疫の誘導において中心的役割を果たす。本研究は、樹状細胞に抗炎症性の免疫記憶(複数回刺激による免疫応答の増強)を誘導する食品成分を見いだし、その記憶形成メカニズムを明らかにした。これまでの自然免疫記憶に関する研究の多くは炎症性免疫の増強メカニズムを解析し、ワクチン応用を目指したものである。一方で本研究は、「抗炎症性の自然免疫記憶の形成とその作用メカニズム」を明らかにしており、その点が意義深い。また、抗炎症性機能を持つ食品の開発にも貢献すると期待され、社会的意義も高いと考えられる。
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