研究課題
酸化還元を基盤としたタンパク質の機能制御であるレドックス制御は、植物の光合成の調節に必須の役割を果たしている。しかしながら、夜間の光合成の機能オフを可能にする酸化側のメカニズムはほとんど明らかになっていなかった。本研究では、研究代表者が同定したタンパク質酸化因子チオレドキシンライク2(TrxL2)に注目しながら(PNAS 2018)、レドックス制御の酸化側の分子機構と生理的役割を包括的に明らかにすることを目的とした。その結果、以下の成果を得ることができた。1)葉緑体型ホスホフルクトキナーゼを新規のレドックス制御の標的酵素として同定し、さらに制御の分子機構を詳細に明らかにした。特に、この酵素はTrxL2依存的な酸化によって活性化を受ける稀少なタイプの酵素であることを明らかにした。2)ゲノム編集技術を用いて、レドックス制御の標的酵素であるリンゴ酸脱水素酵素のレドックススイッチ部位を欠損させた変異株シロイヌナズナを作出した。一連の表現型解析から、この酵素のレドックス制御が変動光環境で果たす重要性を明らかにした。3)TrxL2の他、もう一つのタンパク質酸化因子であるACHTにも着目し、それぞれの因子をノックアウトした変異株シロイヌナズナを作出した。それらの明暗移行時のタンパク質の酸化応答を詳細に分析・比較し、各酸化因子が酸化の標的とする酵素の選択性をin vivoレベルで明らかにした。これらの成果は、光合成を夜間に抑制するタンパク質酸化システムの実体を多角的に明らかにしたものと言える。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (2件)
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