研究課題
オレアミドの小腸における吸収を高めるためには小腸上皮細胞内の脂肪酸アミド加水分解酵素FAAH1を阻害する必要がある。FAAH1の組換えタンパク質としてGST融合型FAAH1を大腸菌にて発現させ、精製した。精製GST融合型FAAH1はオレアミドを分解したが、大豆イソフラボンのゲニステインがその反応を阻害した。ゲニスイテンとオレアミドをマウスに投与したが、ゲニステインはオレアミドの血中濃度に影響しなかったことから、ゲニステインの生体内代謝物はFAAH1活性を阻害しないと推測された。オレアミドが骨格筋以外に内臓脂肪にも蓄積したため、オレアミドの肥満に対する効果を検証した。狭小ケージでマウスを12週間飼育したところ、耐糖能が損なわれ、食餌効率が向上した。狭小ケージ飼育は、体重、精巣上体周辺脂肪と腎周囲/後腹膜脂肪の重量を増加させた。しかしオレアミド摂取は狭小ケージ飼育による耐糖能異常を改善し,体重と脂肪重量の増加を抑制した。狭小ケージ飼育により腹部脂肪における炎症関連因子(Mcp-1、Pai-1、Tnfa、Tnfrsf1a)のmRNA発現は増加または増加傾向を示したが、オレアミド摂取はこれらの炎症関連因子のmRNA発現を抑制した。一方で、狭小ケージ飼育により脂質代謝(合成と分解)に関連する因子(Acc、Fas、Scd-1、Elovl6、Atgl、Hsl、Ppara)のmRNA発現は低下したが、オレアミド摂取はそれらの発現に影響を与えなかった。これらの結果から、マウスを狭小ケージで飼育すると肥満を誘発し、腹部脂肪量を増加させるが、オレアミド摂取はおそらく脂肪の合成と分解に影響を与えずに肥満を抑制することが示された。
すべて 2023 2022 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
巻: 86 ページ: 1095~1195
10.1093/bbb/zbac082
Journal of Agricultural and Food Chemistry
巻: 70 ページ: 15499~15508
10.1021/acs.jafc.2c06791
https://www.omu.ac.jp/agri/nc/