研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究は、蚊と共存し病原性の無い昆虫特異的ウイルスが、ヒトに伝播し感染症の原因となる蚊媒介性ウイルスが蚊に同時に感染した際に、増殖伝播に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。我々がこれまでに蚊から単離した2種類の昆虫特異的ウイルスの性状を明らかにし、蚊への感染系を確立した。これらのウイルスが、培養細胞および媒介蚊成体においてデングウイルス2型の増殖に与える影響を検証した結果、今回用いたウイルスはデングウイルスの蚊成体内での増殖に影響を与えずに共存して増殖可能であることが明らかとなった。
ウイルス学
蚊などの節足動物が媒介しヒトや動物に感染症を起こすデング熱等のウイルス感染症の多くは、未だ予防法や治療法が確立しておらず、媒介蚊の対策が最も重要である。本研究は、媒介蚊に共存し病原性の無いウイルスの存在と性状を明らかにし、蚊の中でデングウイルス等の病原性ウイルスの増殖を抑制する方法を検証するものである。媒介蚊を自然界から排除するのは困難であり、蚊に感染する様々なウイルスの特性を理解し利用することで、環境に配慮した蚊媒介性ウイルス感染症の予防策を見出す研究である。
