研究課題/領域番号 |
20K21301
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
成澤 才彦 茨城大学, 農学部, 教授 (90431650)
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研究分担者 |
晝間 敬 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (20714504)
西澤 智康 茨城大学, 農学部, 准教授 (40722111)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | Mortierella属菌 / 内生細菌 / 共生 |
研究実績の概要 |
Mortierella属菌が様々な植物の生育にどのような影響を与えるかを調べるために植物接種試験を行った。供試植物は、トマト、キャベツ、およびホウレンソウの3種である。M. alpina KS.F.3.3.1はすべての植物で乾燥重量を有意に減少させた。M. humilis S2接種区ではトマトとホウレンソウの乾燥重量を対照区と同程度生育させたが、キャベツでは有意に減少させた。以上より、菌種や菌株と植物種の組み合わせによって与えられる影響が変わることが示唆された。 Mortierella humilis S2のBREであるMycoavidus sp. S2-EBを培養することに成功した。Mycoavidus sp. S2-EBは2,575,677 bpのchromosomeおよび99,085 bpのプラスミドを保持していることが明らかとなった。Mortierella属菌のBREでプラスミドを保持する菌株は今回が初めての報告である。 BREの培養に成功したことから、Mortierella属菌のBREの再導入法を検討した。LCA培地上でM. verticillata YTM181BF1+Mycoavidus sp. S2-EBのの対峙培養を行った。元来M. verticillata YTM181に内生するBREはGroup Cに属しているが、対峙培養後に検出されたのは、再導入法に用いたGroup Aに属するBREであった。この結果は、BREのMortierella属菌への再導入に成功した可能性を示すものであり、さらにBREの入れ替えにも成功した可能性を示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Mortierella属菌が様々な植物の生育にどのような影響を与えるかを調べたところ、アブラナ科植物のキャベツでは有意な減少が認められたため、モデル植物の変更を考慮する必要が生じたため、やや遅れが生じている。一方、Mortierella humilis S2のBREであるMycoavidus sp. S2-EBを培養することに成功したことで、再導入が可能になったこと、さらには、対峙培養で元来M. verticillata YTM181に内生するBREはGroup Cに属しているが、対峙培養後に検出されたのは、再導入法に用いたGroup Aに属するBREであったことから、BREの入れ替えにも成功した可能性を示しており、当初の研究計画以上に進展している。以上を総合的に判断して概ね順調とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、メカニズム解明の箇所をモデル植物を再考することを含め、加速的に進め、さらに培養に成功したMycoavidus sp. S2-EBのゲノム解析を進める。また、M. verticillata YTM181BF1+Mycoavidus sp. S2-EBの組み合わせでBREの再導入が出来たことの確証を得る為、菌糸外ではなく、菌糸内に存在することの確認を行う。さらに、再導入されたことによる植物への共生の変化も検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究ではMortierella humilis S2のBREであるMycoavidus sp. S2-EBを培養することに成功した。しかし、異なる宿主への再導入や植物への接種試験に供試出来る菌体量を得るには、予想より長期の培養期間が必要であることも明らかになった。これにより、再導入試験や接種試験に若干の遅れが生じたことから未使用額が生じた。また、同BREのゲノム解析は既に終了したが、今後、宿主菌類のゲノム解析を行う必要があるため、この費用に使用する計画である。
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