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2020 年度 実施状況報告書

組織培養を経ないゲノム編集技術の開発と果菜類への適用

研究課題

研究課題/領域番号 20K21302
研究機関筑波大学

研究代表者

三浦 謙治  筑波大学, 生命環境系, 教授 (00507949)

研究分担者 有泉 亨  筑波大学, 生命環境系, 准教授 (70575381)
研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2022-03-31
キーワードゲノム編集 / トマト / 一過的発現システム
研究実績の概要

植物でゲノム編集を行うにあたり、通常はCas9形質転換体を作出し、ゲノム編集を行った後、Cas9を含む外来遺伝子を除くという方法がとられている。これを組織培養を経ない方法で行うことを考慮した場合、2つの障壁が考えられる。1つは組織培養を経ないために、植物体そのもので、脱分化から再分化を促す系を築く必要がある。もう1つは、Cas9といったゲノム編集酵素が一過的発現で効果があるかどうかである。まず、後者である、Cas9を一過的に発現させてゲノム編集がおきるかどうかを確かめるため、組織培養を経る方法でゲノム編集がおきるかを確かめた。トマトを組織培養によってカルスを経て再分化させる過程において、一過的にCas9を発現させてゲノム編集を行った。この際、一過的に発現させるタイミングは子葉切片を切断した際とし、発現ベクターには、植物での一過的タンパク質発現の上昇に寄与するpBYR2HSベクターを用いた。また、ターゲットとしては、糖度蓄積に関わるとされているHWS遺伝子とした。カルスから植物体を再分化させ、その植物個体からDNAを抽出し、シーケンスを行った。その結果、キメラではあるがターゲット配列にて、ゲノム編集がおきた個体が得られた。このゲノム編集個体T0個体から次世代種子T1個体を採種して、ゲノム編集による変異が遺伝されているかどうかを調べたところ、T0個体11個体のうち2個体由来の種子において、ゲノム編集による変異が遺伝されていることが明らかとなった。しかも、この次世代T1個体においてゲノム編集による変異が遺伝されている個体では、一過的に発現させたCas9はゲノム中には存在しないことが明らかとなった。これらの結果から、組織培養を経る方法ではあるが、ゲノム編集酵素を一過的に発現させて、トマトにてゲノム編集を行うことが可能であることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

組織培養を経ずに、植物においてゲノム編集を行う方法は難易度が高く、大きく2つの障壁がある。1つは、組織培養を経ないために、植物体そのもので、脱分化から再分化を促す系を築く必要がある。もう1つは、Cas9といったゲノム編集酵素が一過的発現で効果があるかどうかである。今年度は、ゲノム編集酵素が一過的発現でも機能することを確認することに集中したため、1つ目の植物体そのもので、脱分化から再分化を促す系の確立に至っていないため。

今後の研究の推進方策

組織培養を経る方法ではあるが、一過的にゲノム編集酵素がトマトにおいて働くことが明らかとなったので、組織培養を経ない方法でゲノム編集酵素を導入する必要がある。この方法はハードルが高いため、これまでに成功した例はないが、いくつかの組合せを試してみる予定である。具体的には、植物体の茎を切断し、サイトカイニンといった植物ホルモンを投与することで、再分化を活性化させる方法である。この再分化の時点では、植物では細胞の脱分化、細胞分裂、再分化が進む。そこで、細胞分裂が起きているところで、ゲノム編集酵素を一過的に発現させて、ゲノム編集を引き起こすという方法で試していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

今年度はコロナの影響もあり、技術補佐員の確保ができず、研究の進捗に遅れが生じてしまった。次年度においては、人手を確保し、研究の遂行に注力する予定である。また、それに伴い、ゲノム編集の変異を検出するための試薬や外注費用として充てる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Efficient base editing in tomato using a highly expressed transient system2021

    • 著者名/発表者名
      Yuan Shaoze、Kawasaki Shunsuke、Abdellatif Islam M. Y.、Nishida Keiji、Kondo Akihiko、Ariizumi Tohru、Ezura Hiroshi、Miura Kenji
    • 雑誌名

      Plant Cell Reports

      巻: 40 ページ: 667~676

    • DOI

      10.1007/s00299-021-02662-z

    • 査読あり
  • [学会発表] Efficient base editing in tomato using a highly expressed transient system2021

    • 著者名/発表者名
      Shaoze Yuan, Shunsuke Kawasaki, Islam Abdellatif, Keiji Nishida, Akihiko Kondo, Tohru Ariizumi, Hiroshi Ezura, Kenji Miura
    • 学会等名
      第62回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] Enhancement of heat and drought tolerance by tomato phytochrome A mutation2021

    • 著者名/発表者名
      Islam Abdellatif, Shaoze Yuan, Na Renhu, Kenji Miura
    • 学会等名
      第62回日本植物生理学会年会
  • [備考] 筑波大学 植物分子細胞生物学研究室

    • URL

      https://sites.google.com/view/tsukubapmcb

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公開日: 2024-12-25  

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