本研究では,まず,モデル実験により,イネの穂が傾くことにより受粉が不安定になり稔実率が低下することを,群落を用いたモデル実験により実証した. 次いで海外の高温水田において穂の傾きが,受粉の安定性並びに稔実にどのような影響を及ぼすかを解析し,穂が傾いていることが高温条件下での受粉の不安定化を助長し不稔発生につながっていることを示した.最後に,市販のデジタルカメラを利用し,2方向から開花を撮影し,花器官の位置関係を立体的に把握する手法を確立した.穂が傾くことによって受粉が不安定になるのは柱頭から葯の裂開口への鉛直角が大きくなるためと考えられた.
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