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2020 年度 実施状況報告書

ツツガムシと相互作用する共生細菌叢の解析を通してつつが虫病制圧の可能性を探る

研究課題

研究課題/領域番号 20K21321
研究機関国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

陰山 大輔  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (60401212)

研究分担者 小川 基彦  国立感染症研究所, ウイルス第一部, 主任研究官 (10322710)
研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2022-03-31
キーワードツツガムシ / ボルバキア
研究実績の概要

遺伝子解析によるツツガムシの分類基盤を構築するため、我が国でつつが虫病リケッチアを媒介するLeptotrombidium属(タテ、フトゲ、フジツツガムシ)およびNeotrombicula属(ヤマトツツガムシ)のcytochrome c oxidase 1遺伝子(COX1)の配列を決定した。その配列をもとに、昆虫などの種を特定するために利用されているDNAバーコーディング法を改変した。
検出用のユニバーサルプライマーを改良し、ツツガムシ1匹ずつからDNAの抽出を行い、PCRを行なったところ、形態学的にタテツツガムシと推定されたサンプルの陽性率が、改良前(55.3%)に比べ、改良後(72.8%)大幅に増加した。フトゲ、フジ、ヤマトツツガムシの検出陽性率は減少することなく維持され(87.9~96.9%)、検出の質(バンドの太さやエクストラバンドの減少)が大幅に改善された。また、Leptotrombidium属およびNeotrombicula属以外のサダGahrliepia属(サダスク・ガーリェップツツガムシ)やWalchia属(ワルヒツツガムシ)の検出も可能であった(87.5~100%)。今後、遺伝子解析を進めていくうえでの基盤を構築することができた。
また、ツツガムシの共生細菌の検出のために細菌の16S rDNAを標的としたPCR(細菌ユニバーサルPCR)を行ったところ、陽性率は、87.7~100%であった。今後、16S rDNAを標的とした細菌叢解析(次世代シークエンサーIllumina Miseqを用いたアンプリコン解析)を行い、ツツガムシの種類別、地域別などの共生細菌の特徴を解析する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナ感染拡大の影響から、十分に研究時間を確保することが困難であったが、非常に微細なツツガムシから個体ごとにある程度安定してDNAが抽出できるようになったことから、2年目は一気に研究を加速することが可能となった。

今後の研究の推進方策

[細菌叢解析] 個体別に抽出したツツガムシDNAを用いて、16S rDNAを標的としたPCR産物を用いた細菌叢解析(アンプリコン解析)を行う。
[メタゲノム解析] また、傾向の大きくことなる代表的なサンプルに対してメタゲノム解析を行い、どのような細菌が存在するのかを正確に把握する。
[ミトコンドリアのハプロタイプ解析] さらに個体別にミトコンドリアのハプロタイプ解析(PCRとダイレクトシークエンスによる)を行い細菌叢解析の結果と照合する。これらにより、細菌間の競合や同調などの有無を検出するとともに、各々の細菌の水平伝播の有無や進化の歴史を推定する(分子系統解析)。
[細胞での競合実験] またボルバキアを単離し昆虫培養細胞を用いた培養に挑戦する。培養に成功したら、ボルバキア感染細胞と非感染細胞に対して、つつが虫病リケッチアを感染させ、排除が起きるか、共存するかについて、PCRあるいはリアルタイムPCRを用いて明らかにする。
[ボルバキアのゲノム解析]
また次世代シークエンサーを用いたボルバキアのゲノム解読を行う。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ感染症対策のために、思うように進められなかった分子実験や細胞実験を行うため、必要な消耗品類の購入および人件費に充てる。

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公開日: 2021-12-27  

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