研究課題/領域番号 |
20K21322
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
泉 正範 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 上級研究員 (80714956)
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研究分担者 |
草野 修平 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (80759291)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | 葉緑体 / オートファジー / ケミカルバイオロジー / 植物 / イネ |
研究実績の概要 |
葉緑体は、植物細胞内で光合成による二酸化炭素同化を担う小器官(オルガネラ)であり、光合成反応の効率は作物の収量と品質に強く関わっている。本研究計画は、葉緑体が分解されることで光合成効率が減衰していく植物の老化現象を、特定の時期や部位を狙ってとめる、あるいは遅らせることで光合成産物を増やす技術として、葉緑体の分解現象を抑制する小分子化合物の開発に挑戦するものであり、具体的には、葉緑体を分解する経路を抑制する化合物をライブラリーから複数単離し、その構造を基により活性の高い化合物群を整備する計画を推進している。R2年度は、本計画のステップ1である「葉緑体オートファジー抑制化合物のスクリーニング」として、葉の老化過程で優先的に起こる葉緑体オートファジー経路(葉緑体を部分的に分解する経路)を抑制する化合物をライブラリーから探索した。 まず効率性の高いスクリーニング系を構築するために、葉緑体を部分的に分解するオートファジーの検出に用いる葉緑体内腔に移行する蛍光タンパク質マーカーを複数種作成し、それらを導入したモデル植物シロイヌナズナを作出した。それらの評価から、特に緑色蛍光タンパク質と赤色蛍光タンパク質をタンデムにつなげた葉緑体内腔マーカーが最も観察しやすいと判断し、その材料を用いて約1600化合物を対象に、葉緑体の分解現象が抑える化合物のスクリーニングを行った。そして本研究の遂行に十分と考えられる多数のヒット化合物を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究ステップ1としていた化合物スクリーニングを完了することができたため、本研究計画はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画はおおむね順調に進展しているため、引き続き当初の計画に沿って、より活性の高い化合物開発や作物での活性試験を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に研究協力者との情報交換の費用として旅費を計上していたが、新型コロナウイルスの感染拡大そのもの、およびそれに伴う感染拡大防止対策のため、全てオンラインでの情報交換に変更した。これにより旅費の使用が全く発生しなかったことが、次年度使用額が生じた主要因である。これらについては、次年度の研究計画をさらに円滑に進めるための物品費購入のために主に使用する予定である。
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