本研究の目的は、森林生態系の炭素循環を評価するうえで最後のブラックボックスである樹木の「細根」について、成長や枯死、形態などの生態特性を、非破壊で検出することを試み、明らかにすることである。 本年度は、1つめの目的である超高周波数をもつ地中レーダを用いて、森林土壌中の「細根の可視化」は可能かどうか?について昨年度までにヒノキ林とスギ林の細根を探査したレーダ反射画像について引き続き解析を行った。 その結果、両樹種において直径5 mm以上の根について、1本の根である個根として検出できる可能性が認められた。一方で細根と定義される直径2 mm以下の根については、1本の根として判別することは、2700 MHzの高周波地中レーダを用いても困難であり、細根系や細根マットなどのある程度広がりを持った範囲の検出について今後検討することが、実質的な野外での応用に見いだせる可能性があるとの結論に至った。 また2つ目の目標である細根生態特性について、非破壊での評価が困難であったため、スギの細根探査時に細根の形態特性を、試料を直接採取することにより解析した。その結果、細根次数特性は、土壌硬度により変動し、特に深さ別にその傾向が強いことが示唆された。
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