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2020 年度 実施状況報告書

バイオナノファイバー由来3Dナノポーラスカーボンの光熱変換機能開拓

研究課題

研究課題/領域番号 20K21334
研究機関大阪大学

研究代表者

古賀 大尚  大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (30634539)

研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2022-03-31
キーワードセルロースナノファイバー / キチンナノファイバー / ナノポーラス構造 / 炭化 / ナノカーボン / 光熱変換
研究実績の概要

近年、再生可能な太陽光エネルギーを熱に変換して利用するための光熱変換材料に注目が集まっており、海水の淡水化や浄水に向けた水蒸発プロセス、熱電発電や触媒プロセスへの応用が活発化している。代表的な光熱変換材料として、金・銀等のプラズモニックナノ粒子、半導体材料、カーボン材料が挙げられる。特にカーボン材料は、太陽光波長(300~2500 nm)に適した幅広い光吸収帯を持つため有望視されている。しかし、太陽光エネルギーの最大限活用に向け、光熱変換機能のさらなる向上が課題となっている。すなわち、①太陽光の吸収と②吸収した光の熱変換(光励起電子が基底状態に戻る際のフォノン振動による熱発生)を志向したナノポーラス構造、および、カーボン系分子構造の設計が希求されている。
そこで本研究では、樹木由来のセルロースナノファイバーまたはカニ殻由来のキチンナノファイバーの炭化戦略により、バイオナノファイバー由来新規ナノカーボンの創製と高効率光熱変換に挑戦する。今年度は、セルロースまたはキチンナノファイバーを用いてナノポーラス構造を持つ紙を調製し、さらにその炭化条件を精査してカーボン系分子構造を設計することで、光熱変換機能開拓に取り組んだ。得られた炭化セルロースナノファイバーペーパーは、太陽光波長領域において最大98%以上の光吸収率を示し、モデル太陽光照射時に温度が最大73℃まで上昇した。この光熱変換機能は、カーボンナノチューブフィルムやグラフェンペーパー等の市販ナノカーボン材料よりも優れていることが確認できた。また、炭化キチンナノファイバーペーパーも優れた光熱変換機能を有し、さらに、光照射に応答して電気特性が変化する光センシング機能も見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

セルロースナノファイバーおよびキチンナノファイバーを炭化したナノポーラスカーボン材料を調製し、その分子構造を設計することで、極めて優れた光熱変換特性を発現させることができた。以上から、当初の計画以上に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

高温処理だけでなく化学処理による炭化も検討し、形成される細孔構造・分子構造と光熱変換機能の相関をより詳細に精査することで、学術的な知見取得、および、応用に向けた更なる高機能化に取り組む。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの影響を受け、学生アルバイト雇用のために計上した予算等が不要となり、次年度使用額が生じた。その一方で、研究自体は当初の計画以上に進展している。
そこで次年度は、本研究課題の鍵となる「バイオナノファイバーの炭化技術」について、当初予定していた高温処理だけでなく化学処理(本年度の検討で有用性は確認済み)にも検討規模を拡大し、そのために本予算を使用する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Pyrolyzed Chitin Nanofiber Paper as a Three-Dimensional Porous and Defective Nanocarbon for Photosensing and Energy Storage2021

    • 著者名/発表者名
      L. Zhu, Y. Huang, Y. Morishita, K. Uetani, M. Nogi, H. Koga
    • 雑誌名

      Journal of Materials Chemistry C

      巻: 9 ページ: 4444-4452

    • DOI

      10.1039/D0TC05799A

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Thermal Conductivity Analysis of Chitin and Deacetylated-Chitin Nanofiber Films under Dry Conditions2021

    • 著者名/発表者名
      J. Wang, K. Kasuya, H. Koga, M. Nogi, K. Uetani
    • 雑誌名

      Nanomaterials

      巻: 11 ページ: 658

    • DOI

      10.3390/nano11030658

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 炭化ナノセルロースペーパーの光熱変換機能開拓2021

    • 著者名/発表者名
      森下哲孝、上谷幸治郎、能木雅也、古賀大尚
    • 学会等名
      第71回日本木材学会大会
  • [学会発表] ナノセルロースでつくる新しい紙の材料・構造設計と機能創発2020

    • 著者名/発表者名
      古賀大尚
    • 学会等名
      高分子学会、エコマテリアル研究会
    • 招待講演
  • [図書] フロー合成、連続生産のプロセス設計、条件設定と応用事例, 第4章・2節 (P.172~179)2020

    • 著者名/発表者名
      古賀大尚(分担執筆)
    • 総ページ数
      599
    • 出版者
      技術情報協会
    • ISBN
      978-4-86104-820-3
  • [備考] 阪大セルロースナノファイバー研究-古賀大尚

    • URL

      http://kogahirotaka.com/

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公開日: 2021-12-27  

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