前年度に行った上空と地上のライダーデータの位置合わせについてはさらに作業を進め、ビームの対象樹樹冠内部へのビーム浸透の程度と樹冠構造の関連を確認した。本研究ではビームが届かないエリアの補間を検討するが、補間を行う前の状態でビームの届かないエリアはなるべく少ないほうがよく、そのためのレーザー計測条件と樹冠構造とのかかわりについて確認を行うことができた。ビームが届かない領域の画像生成系深層学習ネットワークの学習器生成による補間については、他の深層学習器の探索やモデリング手法による補間など、よりよい方法を求めるべく、改良を進めた。本研究においては樹木の樹冠の中でも幹、葉、花、果実など、異なる器官がデータ内に区別なく混在しており、それをデータ内で区別して解析を進める必要がある。そのため、前年度は点群深層学習やピクセルベースの分類処理を導入したが、本年もその一環として物体検出学習器の導入も行い、それによって各器官の識別性能をさらにアップすることができた。本方法を利用すると、本研究に必要なデータ内器官別カテゴリー分類手法に加え、果実の検出といった農業分野に対しての貢献をも可能とする技術も確立することができた。さらに本方法はドローンにおいても有効であるのを確認できたため、地上からアプローチが難しい樹冠上部などにも適用可能であることを確認した。3次元測定技術についてはレーザーを用いる方法以外に、複数の写真を用いる方法もある。これを補間技術の延長線上で用い、カメラ画像による3D化を行い、幹の詳細情報を取得する方法も確立した。
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