作物の高効率生産・高付加価値を実現する栽培法の確立が喫緊の課題となっている。健康志向の高まり、特に生活習慣病予防の観点から、野菜に含まれる栄養成分や機能性成分に注目が集まっている。機能性成分を多く含む高付加価値作物の生産には、これまでUV照射法が提案されているが、UVには人体に対する危険性が高い波長領域を含むため、それらの取り扱いには注意が必要である。そこで、本研究では、UV照射ではなく、可視光を用いて、植物にアントシアニンを蓄積させるための方法を開発することを目的とした。可視光領域(白色LED)の変動光照射条件を複数設け、シロイヌナズナと赤系リーフレタス(レッドファイヤー)を栽培したところ、最大照射強度が十分に高い条件では、照射間隔が30分から60分において、葉のアントシアニンが蓄積することを明らかにした。また、照射強度が低い場合にも、根圏温度を大幅に変化させることによって、葉のアントシアニンが蓄積することを見出した。本研究によって、可視光を用いた光照射のタイミングや強度を調整すること、また、光照射時の根圏温度を調整することで、できる限り生産性を維持したまま機能性成分を高めることが可能であることを示す。
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