過去に感染した病原体の再感染に対し、免疫系はより素早く強力に応答する(免疫記憶)。免疫記憶の本体は抗原特異的な応答の後、体内で長期間維持される記憶リンパ球である。とりわけCD8+ 記憶Tリンパ球は、ウイルスや細菌、腫瘍細胞に対する防御に重要な役割を果たす。本研究から、免疫系での役割が不明な新規転写因子がCD8+ 記憶Tリンパ球の制御に関与する可能性が示唆された。現時点では予備的知見の域を出ないものの、今後検討を重ねることで、免疫記憶の基本原理の解明とともにワクチンや免疫療法の開発に貢献することが期待される。
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