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2020 年度 実施状況報告書

親世代の配偶者選択が制御する子世代の形質発現

研究課題

研究課題/領域番号 20K21368
研究機関静岡大学

研究代表者

笹浪 知宏  静岡大学, 農学部, 教授 (80322139)

研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2022-03-31
キーワード配偶者選択 / 受精 / 受精能力 / 精子 / 鞭毛 / ウズラ
研究実績の概要

生殖活動は次世代に自身の子孫を残す為に必須であり、生物にとっての最重要課題と言える。加えて、優秀な形質を有した子孫を残す為には、優秀なパートナーを選ぶことが重要である。雄の個体の血中テストステロン濃度は、その雄個体の質を反映するという仮説が種々の動物で提唱されている。しかし、雌に好まれる雄の実際の受精能力や、その子孫の形質の調査はほとんど行われていない。雌に好まれる魅力的な雄の受精能力は高く、その子孫は優秀なのであろうか?本研究では、雌に好まれる雄と好まれない雄およびその子孫の形質を調べ、生物の進化と生殖システムとの関連を明らかにすることを目的とした。
受精能力の高い雄の精子を解析したところ、鞭毛長が有意に長いことが判明した。各種ウズラ系統から鞭毛の長い精子を生産するウズラ(Dominant black系統)と短い精子を作る系統(Fawn2系統)を発見し、両者の交配により、187羽からなるF2家系を作出した。現在、これらF2家系のゲノム解析(QTL-seq)を行うとともに、血中テストステロン濃度と精子鞭毛長との関係を解析しているところである。
一方、父性を解析するために必要なマイクロサテライトマーカーの開発を試みた。ウズラのゲノム配列から20種類以上のマイクロサテライトマーカーを設計し、解析を行ったが、農場のウズラの遺伝的多様性が小さく、これらのウズラ集団において明確に父性を判定するマイクロサテライトマーカーの開発には至っておらず、現在、開発を継続中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

精子鞭毛長による受精能力の違いを発見し、鞭毛長の異なる家系を発見し、それらの交配実験から187羽からなるF2家系を作出することができた。鞭毛長の長さが受精を制御することが明らかとなり、ゲノム解析により、精子鞭毛長を規定している遺伝子群の同定が期待される。また、鞭毛長と血中テストステロン濃度との関連性は解析結果を待たねばならないが、サンプルの採集はすでに終えているため、順調に研究が進展していると考えている。
一方、父性鑑別を行うためのマイクロサライトマーカーの開発は難航しており、さらなる検討が必要である。
よって研究の進捗状況は、総合的「おおむね順調に進展している」と判断される。

今後の研究の推進方策

F2家系のゲノム解析(QTL-seq解析)から、精子鞭毛長を規定する遺伝子群の同定を行い、実際に鞭毛の長いウズラと短いウズラ間での発現量の違いを検証する。また、血中テストステロン濃度との関連性も調査する。

次年度使用額が生じた理由

年度末に残高で購入できる物品がなかったため。金額が少額であるため、消耗品購入費として使用する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Longer and faster sperm exhibit better fertilization success in Japanese quail2021

    • 著者名/発表者名
      Matsuzaki Mei、Hirohashi Noritaka、Tsudzuki Masaoki、Haqani Mohammad Ibrahim、Maeda Teruo、Mizushima Shusei、Sasanami Tomohiro
    • 雑誌名

      Poultry Science

      巻: 100 ページ: 100980~100980

    • DOI

      10.1016/j.psj.2021.01.003

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Rare polyandry and common monogamy in the firefly squid, Watasenia scintillans2020

    • 著者名/発表者名
      Sato Noriyosi、Tsuda Sei-Ichiro、Nur E. Alam Md.、Sasanami Tomohiro、Iwata Yoko、Kusama Satoshi、Inamura Osamu、Yoshida Masa-aki、Hirohashi Noritaka
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 10 ページ: 10962

    • DOI

      10.1038/s41598-020-68006-1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] An efficient heterologous Escherichia coli-based expression system for lectin production from Pleurocybella porrigens2020

    • 著者名/発表者名
      Suzuki Tomohiro、Nakamura Luna、Inayoshi Satomi、Tezuka Yuki、Ono Akiko、Choi Jae-Hoon、Dohra Hideo、Sasanami Tomohiro、Hirai Hirofumi、Kawagishi Hirokazu
    • 雑誌名

      Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry

      巻: 85 ページ: 630~633

    • DOI

      10.1093/bbb/zbaa058

    • 査読あり
  • [学会発表] ウズラの精子-卵子相互作用におけるAnnexin6の役割2021

    • 著者名/発表者名
      市川 佳伸、松崎芽衣、水島秀成、笹浪知宏
    • 学会等名
      日本家禽学会2021年度春季大会
  • [学会発表] ウズラ精子表面の糖鎖が精子貯蔵管への精子侵入へ果たす役割2021

    • 著者名/発表者名
      松崎 芽衣、水島秀成、広橋教貴、堀内浩幸、笹浪知宏
    • 学会等名
      日本家禽学会2021年度春季大会
  • [学会発表] ウズラの性比に影響を及ぼす要因2020

    • 著者名/発表者名
      笹浪知宏、青島優香、松崎芽衣、水島秀成
    • 学会等名
      第44 回鳥類内分泌研究会
  • [学会発表] ウズラ初期胚におけるDAZL(deleted in azoospermia-like)の発現解析2020

    • 著者名/発表者名
      水島秀成、塚田光、笹浪知宏、小野珠乙、黒岩麻里
    • 学会等名
      第44 回鳥類内分泌研究会

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公開日: 2021-12-27  

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