研究課題/領域番号 |
20K21375
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
三浦 直樹 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 教授 (80508036)
|
研究分担者 |
高橋 雅 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 准教授 (40750419)
古澤 悠 鹿児島大学, 共同獣医学部, 特任助教 (30791793)
畑井 仁 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 准教授 (40566535)
川原 幸一 大阪工業大学, 工学部, 教授 (10381170)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
キーワード | エクソソーム / 犬 / 腫瘍 / non-coding RNA / cfDNA |
研究実績の概要 |
本研究は,犬の腫瘍特異的マイクロRNAを含有するエクソソームと犬腫瘍特異的変位を含む血中のcell-free DNA(cfDNA)の検出と臨床応用法に挑戦するものである. 1)腫瘍特異的エクソソーム解析では,腫瘍罹患犬と非罹患犬の血中のエクソソームを分離して,レクチンアレイ解析を実施した.その結果,特に犬乳腺腫瘍の転移巣でSia alph-2-6Galの発現の減少が特徴的に捉えられた.その他にも,各細胞株間で表面レクチンの発現の違いが見らて 2)昨年度に確立した犬の腫瘍関連エクソソームの単離法を利用して.性質の異なる複数の犬のメラノーマの細胞株からエクソソームを分離して解析した.原発巣と転移巣により,腫瘍関連エクソソーム含有マイクロRNAをNGSでスクリーニングし,標的マイクロRNAを確認した(Husnaら,Pigment Cell Melanoma Res).同時に,犬の臨床サンプルでエクソソーム含有標的マイクロRNAの臨床診断能を検討し報告した.さらに,マイクロRNA以外のnon-coding RNAの含有に関しても,特異性を発見し報告した(Husnaら,Vet Comp Oncol) 3)腫瘍特異的cfDNA解析では,犬メラノーマ組織で共通に変異したSNPsを次世代シーケンスで選別し,4種類の全く新規のターゲットのSNPsを選別できた.ターゲットSNPsに対するデジタルPCRとリアルタイムPCRで使用可能なプライマー&プローブセットを独自にデザインした.デザインしたプライマー&プローブセットの特異性を一度にすべて確認するためのポジコンとネガコン配列も独自に設計し,確認した. 4)Liquid biopsyの実証試験としてエクソソームとcfDNAの臨床サンプルでの調査のために,大学の症例のみならず,全国7カ所の開業動物病院(大学院生が院長)でのサンプリングを継続した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エクソソームの分離法を確立した.内在するマイクロRNAのターゲット候補を選出し,メラノーマの転移に関連するものを発見し報告している.同時に,マイクロRNA以外のNon-coding RNAに関してもメラノーマに関連するものを複数発見できた.成果は国際学会を含む学会で発表し,論文も国際誌に複数発表した. cfDNAの解析は,最初のターゲットのSNPsを決定でき,発現解析法も確立できた.まだ,複数の細胞株などでの解析が十分でないことから,臨床例での解析が行えていないが、おおむね順調に進められていると判断している
|
今後の研究の推進方策 |
エクソソーム中のRNA分子と犬腫瘍に関する研究は,すでに学術報告も複数行えている.継続して,異なる癌腫でも応用可能かを検討していく. cfDNA解析では,4つの候補SNPsに関して,犬の腫瘍細胞株での特異性・共通性を確認し,臨床で使用できそうなものを確定する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初計画の実験はおおむね順調に進んでいるが,コロナの影響もあり,関連施設からの臨床サンプルの到着遅れ等があり,一部解析すべきサンプルが残っている.その結果により再確認するべき実験もあり,研究期間を延長しており,差額予算はそれらに使用する.
|