研究課題
本研究の目的『核内におけるゲノムの高次構造を理解するための、多領域間クロマチン相互作用を1分子の解像度で網羅的に解析できる新たな手法の開発』達成のためPore-C法をベースとする新たなゲノム高次構造解析手法の開発をおこなった。Pore-Cは2点間相互作用検出法Hi-C法の改良版で、proximity ligationを行ったHi-Cのライブラリを断片化することなくロングリードシーケンサー(Nanopore MinION)を用いて解読することで、多点間の相互作用を簡単に検出することができる。このPore-Cを改良し、特定の標的タンパク質が介在する相互作用に絞った解析を可能にした標的型(targeted)Pore-C法の開発を行った。通常のPore-C同様、in situ Hi-Cの要領で細胞内でproximity ligationを行った後、当初は標的に対する1次抗体とTn5トランスポザーゼを結合した2次抗体を用いて、標的周辺にビオチン下したDNAプローブを挿入する手法を検討した。ところがこの方法ではプローブ挿入効率が極端に悪かったため、2次抗体をアデニンメチル化酵素EcoGIIと結合させた方法に変更し、標的周辺のアデニンにメチル基を導入することでメチルアデニン抗体を用いて標的領域の濃縮をおこなった。1次抗体に各種ヒストン修飾やコヒーシン等のクロマチン高次構造制御に関わると考えられる分子を標的として、得られたDNAをMinIONによって配列決定しゲノムへのマッピングをおこなった結果、ChIP-seq等から予想される各タンパク質のゲノム上での分布と一致することを確認した。一方で実用化に向けてEcoGIIによる修飾効率の向上が必要であるなど、課題も残されている。
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