1) Rbm20ノックアウトマウスおよびノックインマウスのTtn mRNAを長鎖PCR法で増幅して長リード次世代シーケンサーでシーケンシング解析することで、これらのヘテロ接合体やホモ接合体の心筋で作られるTtn mRNAのスプライシングパターンを解析し、ヘテロ接合体では、これまでの論文で予測されていたとおり、さまざまなパターンのN2BA型が発現していること、ホモ接合体ではエクソン51-100のすべてのエクソンが包含されていることを確認できた。 2) RBM20遺伝子変異によるヒト拡張型心筋症で、核移行シグナルとして必須であるRSRSP配列以外で報告された家族性拡張型心筋症の変異がRBM20の核局在とTtnレポーターのスプライシング制御に与える影響を解析した。その結果、この変異は培養細胞での核局在には影響しないにも拘わらず、スプライシング制御能が有意に低下していた。そこで、新たにこの変異のノックインマウスを作製したところ、個体レベルでは、Ldb3遺伝子やCamk2d遺伝子の心筋特異的スプライシングへの影響はS637Aマウスやノックアウトマウスと同程度であったが、Ttn遺伝子では予想に反して一部のエクソンのスプライシング異常に影響がとどまっており、標的遺伝子によってこの変異の影響が異なることが明らかとなった。 3) RBM20がTtn遺伝子の連続したエクソンを効率よく抑制する分子機構、さらに、ヘテロノックアウトで全く影響を受けないエクソン群と大きく影響を受けるエクソン群が存在する理由を明らかにするために、ヘテロマウスで異なる挙動を示すエクソン群を用いてRBM20のスプライシング抑制活性をモニターするためのレポーターミニ遺伝子を作製した。 4) 抗RBM20抗体を用いて内在性RBM20を染色したり免疫沈降したりする条件の検討を進めている。
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