研究課題
本研究の目的は、1分子蛍光観察と高速超解像蛍光観察を組み合わせた高精度イメージング法により、生きている細胞の形質膜内層での脂質分子の分布とその変化、ラフト形成の有無、飽和脂肪酸修飾されたシグナル伝達分子の分布とその変化を明らかにし、膜内層の脂質によるシグナル伝達場形成などの膜動態を解明することである。これにより、脂質研究をアーチファクトから解放し、非常に基本的な知見であるにも関わらず、その膜構造はおろか脂質組成すら曖昧であった形質膜内層やシグナル伝達場の解明を目指す。昨年度までに、2色同時超解像顕微鏡観察法やその解析法を開発していた。今年度、様々な脂質の結合タンパク質に明滅する蛍光分子を標識したものを細胞に発現させ、それらを高速蛍光1分子観察することにより、生細胞の形質膜内層での超解像観察を行った。脂質ドメインは小さく不安定なことが分かった。さらに2色同時観察して、脂質ドメイン同士の共局在を定量評価したところ、良く共局在する組み合わせと、分離している組み合わせがあることが明らかになった。さらに2色同時観察により、脂質ドメインと信号分子との定量的な共局在解析したところ、受容体刺激前後で、信号分子によっては、脂質ドメインを乗り換えていることが明らかになった。このように、今までにほとんど分かっていなかった、細胞膜内層の脂質による信号伝達場形成などの膜動態を明らかにするための手法を開発できたと考えている。
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Chemistry A European Journal
巻: 28 ページ: e202104421
10.1002/chem.202104421
Chemistry An Asian Journal
巻: in press ページ: e202200142
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Advanced Biology
巻: 5 ページ: 2100636
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