研究課題/領域番号 |
20K21389
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
粂田 昌宏 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (00582181)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 遺伝子工学 / 細胞工学 / 音波 |
研究実績の概要 |
実用可能な音波による遺伝子操作システム「ソノジェネティクス」を確立するため、音波応答遺伝子を探索した。これまでにいくつかのマーカー遺伝子において顕著な音波応答性がみられているマウス筋芽細胞C2C12に対し、440Hz正弦波・14kHz正弦波・ホワイトノイズ、の三種の可聴域音波パターンを100Paの音圧で出力し、2時間と24時間後の遺伝子発現プロファイルをRNA-seqにより網羅的に解析した。その結果、2時間で42種の、24時間で145種の有意な変動を示す遺伝子を同定した。これらには音波依存性が高いものもあれば、三種全ての音波で同様の応答を見せるものもあり、細胞内の複数の応答経路の存在を示唆している。現在、これらの遺伝子群から類推される音波応答経路を実証するための細胞実験系の構築を進めている。また、音波応答性遺伝子の上流にあるプロモーター領域に音波応答性が見られるかどうかを検討するため、ルシフェラーゼ遺伝子を用いたレポーターアッセイを行った。数十種類のプロモーター領域に対して実験的検討を行った結果、現在までに24時間で有意な応答を示すプロモーター領域を複数得ている。しかし現在までに得られているものは、応答強度は高くなく、また数時間以内には有意な応答が見られないなど、応答強度や時間応答性が十分ではない。ソノジェネティクスとしての利用を見据えた更なる有用なシステムを得るべく、これらの点において優れたプロモーターの探索など、更なる検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画初年度は、予定していた研究を当初通りに実施し、順調な進展を見せている。本成果に基づいて今後は更なる探索に進むため、状況に応じて柔軟に計画を検討して、適時適切な方向付けを行って研究を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の研究により、音波応答遺伝子を特定するとともに、音波応答性を示すプロモーター領域を得ることができた。今年度は更なる探索を進めるため、以下の計画を進める。 1)音波応答経路の探索と細胞応答の検証:音波応答遺伝子のデータ解析から、音波に対する応答を示すシステムとしていくつかの細胞分化系およびシグナル伝達系が候補に挙がっている。これらのシステムにおける音波応答性を検証するため、適切な細胞培養系や実験系を構築し、応答を評価する。 2)音波パターン依存性の解析:さまざまな周波数・波形・音圧の音波を用い、またインターバルや再照射など時間的構成を変化させ、遺伝子応答がどう変化するかを明らかにする。これを通し、音波と遺伝子応答との関連性を明らかにするとともに、音波による遺伝子操作に最適な音波パターンを探索する。 3)音波応答性プロモーターの探索:昨年度に得られた音波応答性プロモーターは、24時間で有意な応答は得られるものの、その応答強度は高く、また時間的応答も早くない。これらの点で更に優れた音波応答性プロモーターを得るべく、さまざまな音波応答遺伝子のプロモーターを探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究に必要な各種物品を購入し、残額として残った額である。次年度経費と合わせて必要物品購入のために使用する見込みがあるため、この額での年度内使い切りを行わず、次年度における有効な活用のために繰り越したものである。
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