研究課題/領域番号 |
20K21392
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
島村 達郎 京都大学, 医学研究科, 特定講師 (90391979)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | 受容体 |
研究実績の概要 |
生命現象で主要な働きを担っている膜タンパク質は、ダイナミックに動くことで機能を果たしているものが多い。そのため、生命現象を理解するには、膜タンパク質の構造変化の過程を解明することが必須である。次世代X線であるX線自由電子レーザーを利用した時分割測定は、タンパク質の触媒反応や構造変化などの動きを連続的なスナップショットとして、高分解能でかつフェムト秒レベルでの動きを解析できる従来にない技術として期待されている。実際に、光感受性タンパク質や光に反応するケージド化合物が利用できるタンパク質では、光の照射により結晶内のタンパク質の反応を一斉に開始することで時分割測定が可能となっている。Gタンパク質共役型受容体は、細胞内に存在するGタンパク質やβアレスチンなどと共役して情報伝達を行い、生命維持に必須な役割を果たす。GPCRは、活性型と不活性型の平衡状態で存在し、作動薬・逆作動薬が結合すると大きく構造変化を起し、それぞれ活性型・不活性型に平衡が偏る。本研究では、光非感受性であるGタンパク質共役型受容体についてX線自由電子レーザーを使った時分割測定を行える環境を整え、Gタンパク質共役型受容体に薬が結合した際の構造変化を解明することを目的とする。本年度は、薬が結合していない状態のGタンパク質共役型受容体の構造解明を目指し、構造を安定化するための構造認識抗体や、結晶化に最適なコンストラクトの選定を行った。結果として、結晶化に成功した。また、インバースアゴニストが結合した不活性型の構造解析にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
受容体の結晶化、構造解析に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
結晶にX線を照射しデータ収集、構造解析を行う。分解能が十分であれば、リガンドを結合させて時分割測定を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの感染の可能性を考慮し、培養や精製などを制限しながら研究を行ったため、その分の培地や試薬等の使用量が減少した。次年度は、コロナに感染しないように気をつけながら可能な範囲で実験量を増やし研究を遂行する。
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