研究課題/領域番号 |
20K21394
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高田 穣 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (30281728)
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研究分担者 |
牟 安峰 京都大学, 生命科学研究科, 特定助教 (20894455)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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キーワード | ADH5 / ALDH2 / ADD syndrome / Fanconi anemia / iPS cells / reprogramming |
研究実績の概要 |
アルデヒド分解酵素ADH5とALDH2の複合欠損症であるAldehyde degradation deficiency Syndrome(ADDSと略称)を同定した。その研究途上、この疾患由来細胞のiPS化が非常に困難であることに気づいた。本研究では、エピゲノム再構築に伴うヒストン脱メチル化反応によるホルムアルデヒド(HCHO)産生がゲノムを損傷すること、そして、HCHOを分解する酵素群であるADH5/ALDH2による解毒作用がエピゲノム再構築を支える必須メカニズムであるとの仮説を検証する。研究開始時、(1)ADH5/ALDH2のiPS細胞初期化における役割の検討と、(2)ADH5/ALDH2の低酸素から高酸素への再酸素化における役割の検討を設定したが、後者は実験的に困難であり、(1)に集中して検討を進めている。我々が発見した患者由来のADH5/ALDH2欠損線維芽細胞にADH5をドキシサイクリン(DOX)誘導性に発現させ、リプログラミングを試みたが、効率が非常に悪く、明瞭な結果を得ることができなかった。そこで、すでにiPS細胞化した患者由来のADH5/ALDH2欠損細胞にDOX誘導性のADH5発現カセッテをノックインしたものをインビトロで再度線維芽細胞に分化させ、さらにTERTを導入し、山中4因子を導入して、リプログラミングが可能な系を確立した。この系において、DOXYCYCLINE添加は、明瞭にリプログラミング効率を増大させる結果を得た。仮説がサポートされたと言える結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
iPS細胞へのリプログラミングを患者細胞由来で直接行う系があまりに効率が悪く、系の確立に手間取った。
iPS細胞関連実験に使われる培地がコロナウイルスの影響か、欠品した。
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今後の研究の推進方策 |
ホルムアルデヒドの産生メカニズムと目されるヒストン脱メチル化酵素や、ホルムアルデヒドの除去剤などの影響をテストする。
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次年度使用額が生じた理由 |
iPS細胞へのリプログラミングを患者細胞由来で直接行う系があまりに効率が悪く、系の確立に手間取った。iPS細胞関連実験に使われる培地がコロナウイルスの影響か、欠品した。このような研究状況のため、研究を効率的にすすめることができず、次年度にさらに研究を終了するための実験を行う事となった。使用計画としては、主に物品費と一部研究補助のための人件費にあてたいと考えている。
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