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2020 年度 実施状況報告書

細胞種ごとに多様な染色体分配メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 20K21395
研究機関大阪大学

研究代表者

深川 竜郎  大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (60321600)

研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2023-03-31
キーワードセントロメア / 染色体分配 / 細胞分裂
研究実績の概要

生物の生命維持には、均等な染色体分配が必須である。真核生物における染色体分配は、細胞分裂期に両極から伸びてきた紡錘体微小管が染色体のセントロメアと呼ばれる特殊領域を捉えることによって遂行され、セントロメアを中心とした染色体分配の分子機構は、全ての細胞で共通なものが重要と考えられてきた。しかしながら、細胞や生物種ごとに、それぞれの細胞環境では重要な独自の分配機構が存在するかもしれないという大胆な仮説を証明することが本研究の大きな目的である。
深川らは脊椎動物の培養細胞をモデルとして、セントロメアタンパク質の集合に関する分子機構の解明を目指した研究を長年行い、セントロメアへの微小管結合タンパク質複合体Ndc80CのリクルートにはCENP-Cと呼ばれるタンパク質で担われる経路とCENP-Tで担われる経路があることを明らかにした。興味深いことに、この2つの経路が存在するにも関わらず、ニワトリDT40細胞では、CENP-T経路が主要に使われている。当初はこれが全生物に共通したセントロメア形成の分子機構であると考えていた。しかしながら、ショウジョウバエや線虫では、CENP-T経路に関わるタンパク質群は欠損しており、一方カイコでは逆にCENP-C経路に関わるタンパク質群が欠損してCENP-T経路が主要に使われている。また、ほとんどの脊椎動物では、ゲノム配列から判断すると2つの経路を有している。したがって、脊椎動物においては、2つの経路が存在しているものの、CENP-C経路とCENP-T経路が活用されるバランスが細胞種ごとに異なっているという可能性も考えられる。このパワーバランスが細胞種ごとに調整され、多様な染色体分配システムが維持されているとも考えられる。そこで、本研究では、マウスを用いて、CENP-C経路を欠損させて、発生にどのような影響が出るか解析した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

マウスの作成に成功し、予定通りに表現型の解析に着手しているため。

今後の研究の推進方策

表現型解析進めるとともに、CENP-T経路欠損マウスの作成も進める。

次年度使用額が生じた理由

消耗品が予想より掛からなかったため、次年度への持ち越しとなったが、マウス飼育、消耗品などに使用するなど次年度分と合わせて執行する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件)

  • [雑誌論文] Bridgin connects the outer kinetochore to centromeric chromatin.2021

    • 著者名/発表者名
      Sridhar S, Hori T, Nakagawa R, Fukagawa T, Sanyal K.
    • 雑誌名

      Nat Commun.

      巻: 12 ページ: 146

    • DOI

      10.1038/s41467-020-20161-9.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Cryo-EM structure of the CENP-A nucleosome in complex with phosphorylated CENP-C.2021

    • 著者名/発表者名
      Ariyoshi M, Makino F, Watanabe R, Nakagawa R, Kato T, Namba K, Arimura Y, Fujita R, Kurumizaka H, Okumura EI, Hara M, Fukagawa T.
    • 雑誌名

      EMBO J.

      巻: 40 ページ: e105671.

    • DOI

      10.15252/embj.2020105671.

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Kinetochore stretching-mediated rapid silencing of the spindle-assembly checkpoint required for failsafe chromosome segregation.2021

    • 著者名/発表者名
      Uchida KSK, Jo M, Nagasaka K, Takahashi M, Shindo N, Shibata K, Tanaka K, Masumoto H, Fukagawa T, Hirota T.
    • 雑誌名

      Curr. Biol.

      巻: on line ページ: S0960-9822

    • DOI

      10.1016/j.cub.2021.01.062.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] CENP-C Phosphorylation by CDK1 in vitro.2021

    • 著者名/発表者名
      Watanabe R, Hara M, Ariyoshi M, Fukagawa T.
    • 雑誌名

      Bio Protoc.

      巻: 11 ページ: e3879

    • DOI

      10.21769/BioProtoc.3879.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A super-sensitive auxin-inducible degron system with an engineered auxin-TIR1 pair.2020

    • 著者名/発表者名
      Nishimura K, Yamada R, Hagihara S, Iwasaki R, Uchida N, Kamura T, Takahashi K, Torii KU, Fukagawa T.
    • 雑誌名

      Nucleic Acids Res.

      巻: 48 ページ: e108

    • DOI

      10.1093/nar/gkaa748.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Essentiality of CENP-A Depends on Its Binding Mode to HJURP.2020

    • 著者名/発表者名
      Hori T, Cao J, Nishimura K, Ariyoshi M, Arimura Y, Kurumizaka H, Fukagawa T.
    • 雑誌名

      Cell Rep.

      巻: 33 ページ: 108388

    • DOI

      10.1016/j.celrep.2020.108388.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] セントメアおよび動原体の分子基盤の解明2020

    • 著者名/発表者名
      深川竜郎
    • 学会等名
      日本遺伝学会
    • 招待講演
  • [学会発表] CENP-Aヌクレオソーム-CENP-Cm タンパク質複合体の立体構造からみえてきた染色体分配を支えるキネトコア複合体のどう的制御2020

    • 著者名/発表者名
      有吉眞理子、深川竜郎
    • 学会等名
      日本生化学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 染色体不安定およびゲノム再編成を防ぐ正確な動原体構造2020

    • 著者名/発表者名
      深川竜郎
    • 学会等名
      日本分子生物学会
    • 招待講演
  • [学会発表] CENP-C creates a compact chromatin configuration within centromeres2020

    • 著者名/発表者名
      原 昌稔、有吉 眞理子、深川 竜郎
    • 学会等名
      日本分子生物学会
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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