研究課題/領域番号 |
20K21404
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
島本 勇太 国立遺伝学研究所, 遺伝メカニズム研究系, 准教授 (80409656)
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研究分担者 |
岩城 光宏 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 副チームリーダー (30432503)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | 減数分裂 / 紡錘体 / 染色体分配エラー / DNAオリガミ / ナノメカニクス |
研究実績の概要 |
本研究では、哺乳類の卵母細胞で生じる染色体分配エラーの原因として特に理解が遅れている紡錘体の形成異常について、その構造欠陥や力の不均衡を高解像で可視化解析できる顕微鏡技術の確立を目指し、プロジェクトを進行している。 今年度は、DNAオリガミで作ったナノメートルサイズのフォースセンサーを使って、これを紡錘体に導入するための最適化を行った。具体的には、このフォースセンサーの両端に微小管結合ドメインとしてATPase不活型キネシン頭部を付与し、in vitro形成した微小管への選択的な結合を全反射顕微鏡を使って確かめた。さらに作製したフォースセンサーをアフリカツメガエル未受精卵エクストラクトと混合し、エクストラクト内で形成させた減数分裂期の紡錘体への結合と、紡錘体の極方向への輸送を確認することができた。このフォースセンサーは末端の両側に微小管結合ドメインを持つようにデザインしてあるため、紡錘体を形成する微小管のネットワーク内で隣接する2本の微小管を架橋し、それらの位置変化によってフォースセンサーが伸縮して蛍光シグナルを変化させる。このシグナルを効率的に検出でき、かつ紡錘体の内在的なダイナミクスに対する影響を最小限に抑えられるよう、微小管結合ドメインとして使用しているキネシン頭部を改変し、微小管との親和性を調節するなどの最適化を行った。また、紡錘体微小管の蛍光イメージングとの波長がオーバーラップしないよう、フォースセンサーの標識色素の検討と最適化も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目標としていた微小管に選択的に結合するセンサープローブの作製が完了し、in vitro最構成系と卵エクストラクトの系でこのセンサーの結合能を確認、今後の解析に向けた最適化を行うことが出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
作製したフォースセンサーの機能を、ツメガエル卵エクストラクトの紡錘体を使ってさらに定量評価し、センサーの安定性、検出する力のレンジなどの最適化を行う。 その後、最適化したプローブをマウス未受精卵にインジェクションし、紡錘体への結合と、構造欠陥や力の不均衡を蛍光顕微イメージングによって検出できるシステムの構築を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
アッセイの最適化が当初の計画よりも小規模で完了し、計画していた消耗品の使用を抑えることができたため。この助成金は、来年度に計画している新規のアッセイの構築と、それに関連する人件費に使用して研究の加速を図る。
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